古典新訳文庫について
光文社古典新訳文庫の創刊3周年を迎えて

 光文社古典新訳文庫も、おかげさまで無事3周年を迎えることができました。創刊以来、たくさんの方々から本当に熱いご支援をいただきました。この場を借りて、厚く御礼申し上げます。

 最近ではようやく「古典新訳」という言葉も定着してまいりました。他社からもたくさんの新訳作品が刊行されるようになり、創刊前の「古典作品は、もう読まれないのではないか」という不安を考えると、少し大袈裟ですが、まさに隔世の感があります。実際、読者から届けられる声は、私たちの予想をはるかに上回る古典への期待と渇望に満ちていました。望まれている役割の大きさにたじろぎながら、要望にこたえられない自らの非力さに情けない思いをしたことも何度かあります。しかしなんとか、刊行点数92冊、78タイトルを数えるにいたりました。

 これからも上質な翻訳であらゆるジャンルの古典作品を刊行してまいります。今後とも光文社古典新訳文庫にお力添えをよろしくお願いいたします

光文社 翻訳編集部  編集長 駒井稔
2007年9月
古典新訳文庫について
 長い年月をかけて世界中で読み継がれてきたのが古典です。奥の深い味わいある作品ばかりがそろっており、この「古典の森」に分け入ることは人生のもっとも大きな喜びであることに異論のある人はいないはずです。しかしながら、こんなに豊饒で魅力に満ちた古典を、なぜわたしたちはこれほどまで疎んじてきたのでしょうか。
 ひとつは古臭い教養主義からの逃走だったのかもしれません。真面目に文学や思想を論じることは、ある種の権威化であるという思いから、その呪縛から逃れるために、教養そのものを否定しすぎてしまったのではないでしょうか。
いま、時代は巨大な転換期を迎えています。まれに見るスピードで歴史が動いていくのを多くの人々が実感していると思います。
 こんな時わたしたちを支え、導いてくれるものが古典なのです。「いま、息をしている言葉で」――光文社の古典新訳文庫は、さまよえる現代人の心の奥底まで届くような言葉で、古典を現代に蘇らせることを意図して創刊されました。気取らず、自由に、心の赴くままに、気軽に手に取って楽しめる古典作品を、新訳という光のもとに読者に届けていくこと。それがこの文庫の使命だとわたしたちは考えています。