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映画『塀の中のジュリアス・シーザー』がなんだか凄かった

古典新訳文庫の傭兵編集者Oです。

1/26から公開されている映画『塀の中のジュリアス・シーザー』を、会社帰りに銀座テアトルシネマに観に行きました。

ジュリアス・シーザー原作であるシェイクスピア『ジュリアス・シーザー』は古典新訳文庫でも出ているのですが、この映画の配給会社から公開のお知らせを頂くときにちょっとした偶然がありまして......

昨年の冬のある日、僕はイタリアのノーベル賞作家ピランデッロの短編集『月を発見したチャウラ』(10月刊)を売り伸ばす「きっかけ」を探そうと、作家と作品のことをネットで調べていたのです。この短編のいくつかが80年代にイタリアのタヴィアーニ兄弟によって『カオス・シチリア物語』というタイトルで映画化されてることは知っていたんですが、タヴィアーニ兄弟のことはあまり知らなかったので検索。なるほど、イタリアを代表する監督なのね。この映画見たいけど、すでにDVDも絶版で入手できず。うーん見られないと見たくなる......タヴィアーニ、タヴィアーニ......。

と、思っているところに映画会社から電話が。「あの、『塀の中のジュリアス・シーザー』という映画を日本で公開するんですが、タヴィアーニ兄弟ってご存じですか?」

「あ、もちろん、よく知ってますよ、ええ。」

というわけで、タヴィアーニ兄弟は向こうから僕の胸の中に飛び込んで来たわけですが(意味不明)、こういう運命的出会いには何かあるのに違いない!というわけで、映画には大変期待していました。なんせベルリン映画祭で金熊賞を取ったほどで、金熊賞といったらあれだ、大変なもんだ。昨年から試写会のお誘いを頂いていたのに、結局自腹で観に行ったわけですが、結論からいうと自腹の価値は十分ある作品でした!

映画のスジは、イタリアの刑務所の囚人たちが演劇実習の一環としてシェイクスピア『ジュリアス・シーザー』を獄中で演じて大絶賛を浴びるまでを、ドキュメンタリーにしたもの。つまり、俳優さんはみんなバリバリの重罪犯で、中には1975年から終身刑でお勤め中の人も。1975年って僕が生まれた年なんですけども。。。

『塀の中のジュリアス・シーザー』

『塀の中のジュリアス・シーザー』銀座テアトルシネマ

『ジュリアス・シーザー』って要は「お前もか、ブルータス」で有名な独裁者を「裏切り者たち」が暗殺するお話なのですが、そういう点では俳優がみなガチの「経験者」で、そして舞台もイタリアなのでやけにリアル。「裏切り者」「裏切られる者」の役柄と自分の経験が重なって、みなさん苦悩するわけです。それを乗り越えたとき、みなさん鬼気迫る凄い演技をされるわけです!

どうみてもマフィアの親分にしか見えないシーザー役の人、信念の人であるブルータス役の人(この人は後に減刑されて現在俳優をしているらしい)、それからシーザーの仇を討つオクテヴィアス役の異様な(スケキヨ的な)風貌の人あたりが個人的には印象的でした。僕は東京の府中というところに住んでいるのですが(塀の外側です、念のため)、もちろん演劇で元の罪自体が消えてなくなるわけではないにしても、府中でもこういうのやったらいいのに!と思いました。

もちろん、この映画だけで超絶素晴らしいのですが、先に原作を読んでおくと、数倍楽しめます。古典新訳文庫の安西徹雄さんの訳は、非常に標準的な、すんなり理解できる訳なので、ベースとして読んでおくにはもってこいのエディションだと思います。安いですし(定価500円!)。

銀座では2月中はやっているみたいですし、全国でも公開中、公開予定の映画館がたくさんあるようなので、ぜひぜひ、原作を古典新訳文庫で読んだうえで、観に行ってください!

映画『塀の中のジュリアス・シーザー』公式サイト
CESARE DEVE MORIRE
2013年1月26日(土)より銀座テアトルシネマ他、全国順次ロードショー
監督・脚本:パオロ&ヴィットリオ・タヴィアーニ
劇中戯曲:ウィリアム・シェイクスピア『ジュリアス・シーザー』
配給:スターサンズ
2012年イタリア映画

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2013年2月13日 光文社古典新訳文庫編集部 |


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