ホーム > 今月の新刊
今月の新刊
- 『ブラス・クーバスの死後の回想』
- マシャード・ジ・アシス/武田千香 訳
- 定価(本体1,314円+税)
ブラジル文学の最高傑作
池澤夏樹氏絶賛!「おしゃべりブラス、きみこそぼくの親友だ。」
死んでから作家となった書き手がつづる、とんでもなくもおかしい、かなしくも心いやされる物語。カバにさらわれ、始原の世紀へとさかのぼった書き手がそこで見たものは......。ありふれた「不倫話」のなかに、読者をたぶらかすさまざまな仕掛けが施される。ブラジル文学の秘められた大傑作。
マシャード・ジ・アシスはブラジル文学の頂点に座す作家だ。『ブラス・クーバスの死後の回想』の斬新さ、あまり に型破りで奇抜な形式と内容は、大きな衝撃を今日にまで与えつづけている。〈訳者〉
【解説より】
ブラジルの文学百選を募ると、この『ブラス・クーバスの死後の回想』(Memorias Postumas de BrasCubas, 一八八一年)は必ず上位に入り、やはり同じ作者の『ドン・カズムッホ』(Dom Casmurro, 一八九九年)とともに首位を争うこともある。このことが示すようにマシャード・ジ・アシス(一八三九〜一九〇八年)は、だれもが認めるブラジルの文学の頂点に座す作家である。とりわけ『ブラス・クーバスの死後の回想』の評価は高く、ブラジルの文学のアンソロジーでこの作品を取り上げないものはまずない。『ブラス・クーバスの死後の回想』は、マシャードの文学のみならず、ブラジルの文学全体から見てもきわめて重要な不朽の名作である。
マシャードは残念ながら日本のみならず世界においても、その高い文学的な質にふさわしい知名度を獲得していず、その理由は何よりもポルトガル語で書かれているというのが大きい。もしも英語やフランス語といったもっと文化的(政治的)影響力のある言語で書かれていたら、ヨーロッパの代表的な古典文学と肩を並べていただろうとはよく言われることである。それでも最近では、 スーザン・ソンタグやハロルド・ブルームなどの高名な批評家が世界の重要な作家としてマシャードを挙げたこともあって、徐々にではあるが注目されるようになってきている。ソンタグは、あるインタビューで、マシャードは「一九世紀の主要な作家の一人であり、ラテンアメリカ最高の作家だ」という言葉を残している。