文豪が若い情熱で書きあげた画期的小説

死刑囚最後の日

死刑囚最後の日

ユゴー    
小倉孝誠  訳   

喘ぐような息づかい
押しつぶされるような絶望感

物語

「死刑囚! いつもひとりでこの想念に耐え、それが消えないせいでいつも凍え、その重みにいつも打ちひしがれている!」刻々と迫るギロチン刑の時。独房での日々から断頭台に上がる直前まで、主人公は自らの胸の内を赤裸々に告白する。死刑制度廃止を訴えたユゴー27歳の小説。


内容

わずか三週間で、なかば熱病に取り憑かれたような状態で、一気呵成に書きあげた本書は、ユゴーの小説としては最も短いもののひとつだが、そこで語られている主題の重み、技法の革新性、社会的な影響の点で刮目すべき作品である。彼の代表作のひとつと見なされていいだろう。



訳者あとがき

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〈あとがきのあとがき〉天才コピーライター、ユゴーはかくして死刑廃止を訴えた──『死刑囚最後の日』訳者・小倉孝誠さんに聞く
ヴィクトル・ユゴー    Victor Hugo
[ 1802 - 1885 ]    フランスの作家・詩人。父はナポレオン軍の将校。ブザンソン生まれ。兄とともに入った寄宿舎で文学に目覚めて詩作や劇作を始め、17歳のとき兄と文芸誌を創刊。20歳で出した初めての詩集が評価され国王から年金を賜る。その後小説、戯曲にとロマン派の旗手として目覚ましい活躍を始める。『エルナニ』、『ノートル=ダム・ド・パリ』の成功もあり、39歳でアカデミー・フランセーズ会員に選出。1848年共和政成立で議員に選出される。60歳のとき『レ・ミゼラブル』で大成功を収める。1885年パリで死去、国葬に付された。代表作『レ・ミゼラブル』ほか小説、詩集で数多くの作品を遺した。
[訳者] 小倉孝誠    Ogura Kosei
慶應義塾大学教授。フランス文学者。おもな著書に『歴史と表象』『身体の文化史』『恋するフランス文学』『〈女らしさ〉の文化史』『ゾラと近代フランス』など。訳書は『あら皮』(バルザック)、『風景と人間』(アラン・コルバン)、『北の古文書』(ユルスナール)ほか多数。