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「今、再びマルクスに光」ー2010年8月23日 朝日新聞朝刊
2010年8月23日の 朝日新聞に、「今、再びマルクスに光 入門・解説書や新訳、相次ぎ刊行」と題した記事が掲載されています。
光文社古典新訳文庫『経済学・哲学草稿』(長谷川宏/著)を6月に刊行しましたが、
その他にも6月以降、
『若者よ、マルクスを読もう』(内田樹/石川康宏 共著 かもがわ出版)
『ポストモダンの共産主義』(ジジェク/著 ちくま新書)
『新訳 共産党宣言――初版ブルクハルト版(1848年)』(的場昭弘/著 作品社)
などが、続々刊行されています。
また近日、『労働者の味方マルクス』(仮題)(橋爪大三郎/著 現代書館)も刊行予定です。
「なぜ、今マルクスなのか?」
という問いに、各著者が答えていらっしゃいます。
「座標軸をなくした日本社会には、一本筋の通った左翼の存在が必要だと思う。今の若者は左翼アレルギーが強いが、ブルジョアジー出身のマルクスが弱者への友愛から連帯の思想を紡いでいったように、本来の左翼的知性とは熱くて柔軟なものだ」
的場昭弘さん―
「マルクスの魅力は、矛盾をはらんだ二重性の豊かさにあるのです」
長谷川 宏さん―
「政治解決できる問題など実際には少ない世の中で、一人ひとりがどう生きたらいいのか? マルクスが、人が地べたで生きていること自体に可能性と希望を見た意味は、深いと思う」
橋爪大三郎さん―
「政権交代が起きたのが象徴的だが、労働者が革命を起こす前提が日本では完全に消滅した。マルクスも、社会改善のヒントを提供する一人になったということだ」
「牙を抜かれたマルクスから、また新しい思想が生まれていくと思う」
2010年8月24日 光文社古典新訳文庫編集部 | 個別ページ
『新訳 共産党宣言』(作品社) を新訳して

6月、光文社古典新訳文庫で長谷川宏さんの『経済学・哲学草稿』の翻訳が出た。同じ月に私は『新訳 共産党宣言』を作品社から上梓した。マルクスの作品が同じ月に、それも別々の出版社から出るというのは久々のことではないだろうか。私も光文社新書で『マルクスだったらこう考える』『ネオ共産主義論』の二冊のマルクスものを出している。長谷川さんは読者を大事にする訳で定評があり、この難解な書物の読者が広がることを期待する。
マルクスが話題に上ることは一部のマルクスファンだけでなく、学問全体の活性化にとって重要なことだと思われる。なぜならマルクスは1970年代までの学問にとって、ある意味中世のラテン語に似た意味合いをもっていたからである。それはある世代までマルクス的問いかけとでもいうべき、いわば全学問領域を包括するような研究手法があったからだ。マルクス的問いかけとは何か。
それは物事を根本まで問いかける精神である。『経済学・哲学草稿』第一草稿の疎外論の冒頭に国民経済学者は概念的にものごとを把握していない(begreifen)という動詞が出てくる。この難解な動詞こそマルクス的学問が何であるかを意味する言葉である。物事の本質を深くえぐるという意味なのだが、現在の学問は目の前の事実を、あたかも当然の事実として前提し、その相互関係だけを記述することに終始しがちである。マルクス的問いかけとは、事実の背後にある意味をしっかりと問えといっているのだ。もちろん概念的に把握することは至難の業である。学問に王道はなし、しっかりと勉強する必要があるのだ。
さて私の『共産党宣言』訳について述べると、これはちょっと変わっている。まず一八四八年の初版訳である。マルクスもエンゲルスも著者名にない原典からの翻訳。ドイツ語らしい髭文字もそのまま転載してある。しかも各文章に長い解説を施し、マルクスに影響を与えたと思われる当時の人々の文章の抄訳も掲載してある。おまけに私の研究論文まで載せている。翻訳もあえてやさしくしていない。意図は、マルクスを一九世紀の文脈で読んで欲しいということである。マルクスを現代にいかすには、逆説だが現代からマルクスを読むより、あえてマルクスの時代から現代を読んだほうがいいのだ。
しっかりと当時の文脈で読むには、骨が折れる。これが学問の作法というものだ。時代が違うから難解であるのは当たり前である。その困難をあえて引き受け、一九世紀にタイムスリップすることは、苦労はあるがすばらしいことだ。私は40年もこんなことを行っているが、読むたびに新鮮な気持ちになる。2012年には私も還暦を迎える。そろそろ若い人たちに、何かを残したいと考えている。今後もあくまで希望だが、毎年同時代の中に位置づけるマルクス訳を刊行していくつもりである。
1952年宮崎市生まれ、慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士。神奈川大学経済学部教授。著作に、『マルクスだったらこう考える』(光文社新書)、『近代と反近代との相克』(御茶の水書房)、『マルクスに誘われて』(亜紀書房)、『マルクスを再読する』(五月書房)、『未完のマルクス』(平凡社)などがある。訳書に『超訳 資本論 』全3巻 (祥伝社新書)、『新訳 共産党宣言』(作品社) など。
2010年8月19日 光文社古典新訳文庫編集部 | 個別ページ
『マルクスだったらこう考える』 的場昭弘/著
的場昭弘/著光文社新書 (2004/12/14 出版)
価格: ¥756 (税込)
民族、宗教、家族、二極化、戦争...。
19世紀の「あの人」が解く21世紀の超難問。
序章 マルクス、二一世紀の東京に現わる
第1章 「二一世紀型」マルクス主義とは?
第2章 世界についてどう考える?
第3章 民族や宗教についてどう考える?
第4章 「他者」についてどう考える?
第5章 労働者についてどう考える?
2010年8月15日 光文社古典新訳文庫編集部 | 個別ページ
『ネオ共産主義論』 的場昭弘/著

的場昭弘/著
光文社新書 (2006/04/14 出版)
価格: ¥777 (税込)
悪魔の思想か? 世界的難問への最終解答か?
今21世紀の視点で問い直す
はじめに
序章 共産主義の五つの問題
第1章 共産主義と社会主義とはどう違うのか
第2章 共産主義のルーツはどこにあるのか
(1)『旧約聖書』の「創世記」を読む
(2)ユートピア思想
(3)千年王国論
第3章 共産主義にはどんなものがあるのか
第4章 共産党とは何か
第5章 共産主義社会を実現するのは誰か
終章 ネオ共産主義論
最後に
参考文献
索引
2010年8月15日 光文社古典新訳文庫編集部 | 個別ページ
マルクス「経済学・哲学草稿」を新訳して(長谷川宏さん)ー中国新聞 7月15日掲載
中国新聞2010年7月15日の朝刊に、"マルクス「経済学・哲学草稿」を新訳して"と題した長谷川宏さんの記事が掲載されました。
2010年8月 8日 光文社古典新訳文庫編集部 | 個別ページ
『若者よ、マルクスを読もう 20歳代の模索と情熱』 内田 樹 石川康宏/著
内田 樹 石川康宏/著
かもがわ出版
2010年6月20日 出版
価格: ¥1,575 (税込)
2010年8月 8日 光文社古典新訳文庫編集部 | 個別ページ
『新訳 共産党宣言――初版ブルクハルト版(1848年)』
カール・マルクス/著 的場昭弘/訳
作品社
2010年6月25日 出版
価格: ¥2,940 (税込)
2010年8月 8日 光文社古典新訳文庫編集部 | 個別ページ
マルクスの「生き生きとした人間」
2010年7月6日(火)に東京堂書店 神田本店で行われた長谷川宏さんのトークイベント「ヘーゲルからマルクスを、 マルクスからヘーゲルを読む。----新しい思想はいかにして生まれたか?」に参加された近藤伸郎さんからレポートをいただきました。
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僕が考えるマルクスの原点は「彼は生き生きとした人間が好きだったのだなぁ」ということにつきる。彼は根源的なヒューマニストなのだ。人間の生き生きとした日常生活という理想に対して、労働者の状況はあまりにも矛盾のかたまりであった。「あぁ、資本はなんて人間に無関心なのだろう」「自然のなかで社会的な営みをする人間はどこにいったのだろう」、こんなマルクスの叫びが聞こえてくるようだ。そういった問題意識で、マルクスがやったことは、徹底的な現実の解明だった。第一草稿は、国民経済学などの引用で埋め尽くされている。マルクスが現実と格闘した軌跡が描かれているのだ。「ロマンティックな幻想は打破しなければならないのだ。これが現実だ」。ロマンティックな想いに夢想しがちな二十代だからこそ、マルクスのある種の〈信仰告白〉がいたるところでなされている。
長谷川さんの講演の内容も、基本的には第一草稿の「疎外された労働」に関してだった。ドイツ観念論の系譜を辿り、ヘーゲルからマルクスへの継承、転倒を説明して下さった。とくに〈自然--社会--人間〉のモデルは興味深く、やっぱり、マルクスは自然の中での生き生きとした人間という理想を描いていたのだな、と再び確信させられる。長谷川さんは根っからの在野の哲学者。その意味で、マルクスのアカデミズム批判を実践として継承しているとも言える。彼の塾では合宿があるらしく、10日間ほど自然に出かけていくという話を聞いたことがある。これは、まさにマルクス的実践ではないか。
一方で、第三草稿の哲学の話をあまりされなかったのが、少し、心残りだった。マルクスの人間主義の、では、その人間とは何かということに関する哲学の深さ、これが第三草稿にあたる。類的存在とはどういうことなのだろうか。そのあたりを突き詰めていくことが、僕の課題でもあるし、教条主義に陥りがちな現代のマルクス「主義」者の方々にも、いっそう深刻な課題になるにちがいない。
大阪出身。浪人時代に思想・哲学に目覚める。大学では,立花隆ゼミナールに参加し、全共闘運動、学生運動の現状をリサーチ。(成果は『登紀子1968を語る』/情況新書)表三郎主宰スペース研究会にて、フォイエルバッハなどを扱い、今回の『経済学・哲学草稿』の長谷川講演に興味をもった。最近の興味は、英文読解を思想としてとらえること。塾で英語講師のアルバイトをしている。
2010年8月 8日 光文社古典新訳文庫編集部 | 個別ページ
長谷川宏さんージュンク堂トークイベント「働くほどなぜ人は貧しくなるのか?」
『経済学・哲学草稿』(マルクス・著)の刊行を記念して長谷川宏さんのトークイベントが7月22日(木)19時からジュンク堂池袋本店で行われ、定員40名のイベントスペースは超満員、猛暑となったこの日同様に、熱気あふれるトークイベントとなりました。
長谷川さんが「マルクスに帰ってきた」きっかけは、去年岩波市民セミナーで初期マルクスを学ぶ講座を受け持ったこと。そのテキストに使用しようと手に取った『経済学・哲学草稿』の既訳の堅苦しさが気になり独自に新訳を手がけ、抜群に読みやすい新訳『経済学・哲学草稿』が誕生しました。
始めにヘーゲルの近代の捉え方をふまえ、その思想につらなる青年期マルクスの「自然/社会/人間」についての論考を
第一草稿 /四.疎外された労働
と
第三草稿 /二.社会的存在としての人間
(これまでは「私有財産と共産主義」と訳されていたものを新訳)
を中心にお話いただきました。
この二章は、「訳していてぐいぐい引き込まれた」(7月15日の中国新聞朝刊掲載記事)と長谷川さんがおっしゃっているように、「青年マルクスの生き生きとした思考が躍動する章」(あとがき)です。
会場からは、「希望の哲学は可能なんでしょうか」という質問もありました。
私たちが生きる現在をどう捉えたらいいのか、青年マルクスの思考がその足がかりになるかもしれません。
ぜひ、ご一読ください!
※このトークイベントの模様は、ジュンク堂からUstreamで配信される予定です。
2010年8月 8日 光文社古典新訳文庫編集部 | 個別ページ
週刊文春7月8日号『文庫本を狙え!』(坪内祐三さん)
週刊文春7月8日号の『文庫本を狙え!』(坪内祐三さん)で、『経済学・哲学草稿』が取り上げられました。
2010年8月 8日 光文社古典新訳文庫編集部 | 個別ページ
長谷川宏さんのトークイベント、東京堂書店とジュンク堂池袋本店で
6月10日発売の新刊『経済学・哲学草稿』(マルクス・著/長谷川 宏・訳)の刊行を記念して、長谷川 宏さんのトークイベントを東京堂書店神田本店とジュンク堂池袋本店で開催されました。
ヘーゲルの研究でも広く知られる長谷川さん。東京堂ではヘーゲルとマルクス双方の思想の源流を探り、ジュンク堂では「疎外」をキーワードにマルクスの労働観、社会観、自然観について語っていただきました。
東京堂書店のイベントに参加された近藤伸郎さんのレポート...>>
※イベントは、下記の内容で行われました
----新しい思想はいかにして生まれたか?
日 時:7月6日(火) 18:00~20:00
会 場:東京堂書店 神田本店6階
《予約&お問い合わせ 》
■東京堂WEBサイト>>
「理性につらぬかれた世界と対峙しつつ、みずからも理性的存在である意識がこれと知的にかかわる。そこにこそ人間の経験の根本のすがたがあると考えたヘーゲル。これにたいし青年マルクスは、自己に回収されない人間という自然体、そして、自己意識の観念世界にからめとられない現実の自然や人間や社会や歴史に、知を超える経験の場を見ようとしたのだった。」(解説から)。青年マルクスはヘーゲル思考の観念性を批判し、真の人間解放を目指した。 生活のなかで哲学を考える、生活を哲学する立場で数々の著作・翻訳を出し、またヘーゲル翻訳で哲学書翻訳に"革命"を起こした長谷川さんが、マルクスが打ち立てた新しい思想の源流とその革新性、現代性を、ヘーゲルとマルクス双方から読み解く。
――マルクス、26歳。新しい思想の誕生。
日 時:7月22日(木) 19:00~
会 場:ジュンク堂書店 池袋本店4階喫茶にて
入場料:1,000円(ドリンクつき)
定 員:40名
《予約&お問い合わせ》
1階 案内カウンターまたは電話で予約。
TEL:03-5956-6111
■ジュンク堂WEBサイト>>
「1950年代から60年代にかけての政治の季節のこととて、マルクスといえば、なによりも髭もじゃの革命思想家のことだったが、
初期マルクスというと、共産主義者として立つ前の、現実と思想的に格闘する初々しい青年像が思いうかぶようだった。
安保闘争の高揚期にはそんな余裕はなかったが、潮が引いたあとでは数人で集まって初期マルクスの読書会を催したりもした。」(訳者あとがき)
全共闘運動の終息した1970年に大学の研究室を去り、所沢で小さな学習塾を始めた長谷川宏さん。子どもたち相手の塾講師と哲学研究を続け、
生活のなかで哲学を考える、生活を哲学する立場で数々の著作・翻訳を出してきたその長谷川さんが、自身の青年期に取り組んだマルクスに、いま再び戻ってきた。
経済学と哲学の交叉点に身を置いて社会の現実にせまろうとした青年マルクスにあらためて共感したその長谷川さんが、自身の歩みを振り返りながら、「疎外」をキーワードにマルクスの労働観、社会観、自然観をその現代的意味と合わせて読み解く。
《長谷川 宏さんプロフィール》
1940年島根県生まれ。東京大学文学部哲学科博士課程単位取得退学。哲学者。
著書に『高校生のための哲学入門』『新しいヘーゲル』『丸山真男をどう読むか』『いまこそ読みたい哲学の名著』『生活を哲学する』『ちいさな哲学』など。
主な訳書に『精神現象学』『歴史哲学講義』『法哲学講義』『美学講義』(ヘーゲル)、『経験と判断』(フッサール)などがある。
2010年8月 8日 光文社古典新訳文庫編集部 | 個別ページ