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かわさき市民アカデミー「古典は新訳で召し上がれ! 古典新訳で楽しむ世界文学」受講申し込み受付中です。9月27日スタート。

川崎市の生涯教育講座「かわさき市民アカデミー」の2017年度後期講座で、「古典は新訳で召し上がれ! 古典新訳で楽しむ世界文学」が開講されます。

全12回の講座で、初回は古典新訳文庫の創刊編集長・駒井稔が概論を、藤井省三先生(東京大学教授)、小林章夫先生(帝京大学教授・上智大学名誉教授)、中条省平先生(学習院大学フランス語圏文化学科教授)に3回連続講義を、鈴木芳子先生(翻訳家・ドイツ文学者)には2回連続講義をしていただきます。

初回は9月27日(水)10時30分~12時です。詳しい内容・お申し込みは「かわさき市民アカデミー」のウェブサイトをご覧ください。

かわさき市民アカデミーウェブサイト
故郷/阿Q正伝

故郷/阿Q正伝

  • 魯迅/藤井省三 訳
  • 定価(本体780円+税)
  • ISBN:75179-1
  • 発売日:2009.4.9
  • 電子書籍あり
フランケンシュタイン

フランケンシュタイン

  • シェリー/小林章夫 訳
  • 定価(本体800円+税)
  • ISBN:752160
  • 発売日:2010.10.13
  • 電子書籍あり
にんじん

にんじん

  • ルナール/中条省平 訳
  • 定価(本体 760円+税)
  • ISBN:75351-1
  • 発売日:2017.4.11
  • 電子書籍あり
読書について

読書について

  • ショーペンハウアー/鈴木芳子 訳
  • 定価(本体743円+税)
  • ISBN:75271-2
  • 発売日:2013.5.14
  • 電子書籍あり

2017年7月12日 光文社古典新訳文庫編集部 |

3月刊『ご遺体』解剖!

古典新訳文庫の傭兵編集者Oです。

今回は2013年3月新刊のイーヴリン・ウォー『ご遺体』をご紹介させて頂きたいと思います。

ご遺体イーヴリン・ウォーはイギリス近現代文学では重要な作家ですが、まあしかしそんなことはさておき、とにかく誰でも読んで楽しめる作品なのが本書『ご遺体』です。社内でもよく『お葬式』とか『ご臨終』とか間違えられますが、『ご遺体』です! ご注文の際にはお間違いなきよう。

さて、全体を貫いているのはいわゆるブラック・ユーモアというやつですが、twitter風にいうところの「ちょwwwwww」みたいな感覚が一番近いかも。「古い社会」と「新しい社会」の両方に対して痛烈な皮肉をこれでもかとひっかまして笑わせつつ、ちょっと驚く結末も用意されています。

イギリス文学なのに、本書の舞台はハリウッド。まず登場するのは、渡米して映画業界で働いているイギリス人たち。自分たちがイギリス人であるということを生きる拠り所とし、そのコミュニティの体面をやたらと気にする人々です。本書の主人公デニス君もイギリス出身の元詩人なんですが、現在は映画会社を解雇されて、ペット葬儀社に勤めています。イギリス人たちは彼の仕事に眉をひそめ、機会を見て彼を本国に送還したいと考えています。

いっぽうのデニス君は、実はその仕事がわりと気に入っているのですが、彼が自分の提供するサービスの参考にしているのが、セレブ御用達でもある「囁きの園」という葬儀社兼霊園。葬儀から埋葬まで顧客のさまざまなニーズに対応し、心温まるセレモニーを演出してくれます。霊園のほうも彫像や有名建造物のレプリカに溢れてテーマパークみたいで、たぶん箱根彫刻の森美術館と東武ワールドスクエアを足して二で割ってお墓にしたような感じかと。いまの日本だと葬送・埋葬のしかたがいろいろなのはわりと自然ですが、当時のキリスト教圏だとかなり風変わりだったのかもしれません。

デニス君はひょんなことから「囁きの園」で働く遺体化粧係のエイメに恋をすることになります。彼のロマンチックなポエム攻撃(剽窃だけど)にまんざらでもないエイメですが、実は彼女はもう一人、上司で業界屈指の遺体処理師であるジョイボーイからも猛烈に(気色悪い)アプローチをかけられています。彼の仕事は、硬直していたり表情が崩れていたりする遺体をお葬式に向けて修復することなのですが、作業の下流でスタンバっているエイメに送られる死体だけなぜか微笑しています。「あなたを見るとご遺体もほほえむんですよ」「まあ、ジョイボーイさんたらっ」的な(まさに)微笑ましいオフィスラブです。

この三角関係が今後の展開のベースになってくるわけですが、この他にもエイメの唯一の相談相手である新聞コラムの「導師バラモン」、ジョイボーイの母親とそのペットのオウム、ペット葬儀屋の店主(意外といいやつ)など、一癖も二癖もある登場人物(と動物)が話を盛り上げ、かつ思わぬ方向に転がしていくのです。『ご遺体』の面白いのは、これらの人物の設定が突飛なのにそれなりにリアルで、絶妙な胡散臭さを放っているところだといえるでしょう。個人的には、「導師バラモン」のいわゆる「中の人」が、10年くらい前の会社には必ず一人はいたおっさんのタイプを思い出させて、なかなかツボにはまります。

読んで面白くて終わり!でもいいんですが、実はデニス君やエイメの心の動きなどを追っていくとなかなか深いところもたくさんありまして(そのあたりが本作が文学たるゆえんなのですが)、新訳に際して気を遣ったところでもあります。エイメ・タナトジェノスという名前に隠された宿命、そこここに出てくる文学をネタにしたひねりなど、ちょっとした場面でも目が離せないのが本作の特徴です。

また、古典新訳文庫名物の「解説」と「年譜」もひとつ楽しく読んでいただければと思います。これによると、ウォーはそもそも自分の作品の映画化の打ち合わせのためにハリウッドに行ったところが、いろいろ見聞しているうちに巨大葬儀産業に目をつけ、結局それを元に『ご遺体』を書いたらしいです。当初は、アメリカの葬儀業界の反感を買ったため、葬儀してもらえないかもしれないからアメリカで死ぬのはいやだと言ったとか言わないとか。こういうバックグラウンドも興味深いですよね。

鬼才ウォーのユーモアが炸裂する本作をぜひこの機会にお読みください!

ご遺体

ご遺体

  • イーヴリン・ウォー/小林章夫 訳
  • 定価(本体876円+税)
  • ISBN:75266-8
  • 発売日:2013.3.12

2013年4月 3日 光文社古典新訳文庫編集部 |

『ご遺体』(イーヴリン・ウォー/小林章夫 訳)

ホーム > Booksリスト > ご遺体

ご遺体

ご遺体

  • イーヴリン・ウォー/小林章夫 訳
  • 定価(本体876円+税)
  • ISBN:75266-8
  • 発売日:2013.3.12
  • 電子書籍あり

ハリウッドのセレブ葬儀社を舞台にブラックな笑いが弾ける恋愛喜劇

作品

『回想のブライズヘッド』で知られる20世紀英国文学の鬼才ウォーは、古い上流階級の滑稽さや、 新しい商業主義の浅薄さを痛烈に皮肉るユーモア小説でも知られ、『ご遺体』はその本領発揮といえる作品だ。


内容

英国出身でペット葬儀社勤務のデニスは、友人の葬儀の手配のためハリウッドでも評判の葬儀社<囁きの園>を訪れ、そこのコスメ係と恋に落ちる。だが彼女の上司である腕利き遺体処理師もまた、奇怪な方法で彼女の気を引いていたのだった......。 容赦ないブラック・ユーモアが光る中編佳作。

「新・古典座」通い -- vol.19 『ご遺体』を書く複雑さと伊丹十三
3月刊『ご遺体』解剖!
イーヴリン・ウォー
[1903-1966]20世紀を代表するイギリスの小説家。名門出版社の社長を父に持ち、しつけの厳しい全寮制学校に学ぶ。オクスフォードで歴史学を専攻するが中退し、その後教職などを経て作家に。1928年、上流階級への風刺がきいた処女小説『大転落』が好評を博し、続けて『黒いいたずら』『一握の塵』などを発表。一方、1930年にはカトリック信者となっており、これは1945年発表の代表作『回想のブライズヘッド』の礎となった。1948年には前年からのアメリカ旅行をヒントに本作『ご遺体』を発表。その後も戦争小説や旅行記を書いた。
[訳者]小林章夫
1949年東京生まれ。上智大学文学部英文科教授。専攻の18世紀イギリス文学を中心に近代のイギリスの文学・文化を多角的に研究する。1985年、ヨゼフ・ロゲンドルフ賞受賞。著書は『女王、エリザベスの治世』『エロティックな大英帝国』『コーヒー・ハウス』『イギリス名宰相物語』など多数。訳書に『フランケンシュタイン』(シェリー)、『ファニー・ヒル』(クリーランド)、『ワイン物語』(ジョンソン)など。
《関連刊行本》
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2013年3月12日 光文社古典新訳文庫編集部 |

『フランケンシュタイン』(シェリー/小林章夫 訳)

ホーム > Booksリスト > フランケンシュタイン

フランケンシュタイン

フランケンシュタイン

  • シェリー/小林章夫 訳
  • 定価(本体800円+税)
  • ISBN:752160
  • 発売日:2010.10.13
  • 電子書籍あり

怪物は懇願した。「おれは妻が欲しい。友も欲しい...」若き女性作家が書いた最も哀切な"怪奇小説"

作品

「すでにクローンが次々つくられている今日では、人間を人為的に生み出すことも夢ではなくなっている。『フランケンシュタイン』という作品はますます現代的な小説となりつつあるわけだ」(訳者)


物語

天才科学者フランケンシュタインは生命の秘密を探り当て、ついに人造人間を生み出すことに成功する。しかし誕生した生物は、その醜悪な姿のためフランケンシュタインに見捨てられる。やがて知性と感情を獲得した「怪物」は、人間の理解と愛を求めるが、拒絶され疎外されて......。


「フランケンシュタインの自己主張」 小林章夫
メアリー・シェリー
[1797−1851] イギリスの女性作家。急進的自由主義者の父ウィリアム・ゴドゥイン、女性解放を唱えた思想家の母メアリー・ウルストンクラフトのあいだに一人娘として生まれる。出産後数日で母は他界し、継母に育てられる。1814年、当時のイギリスを代表する詩人シェリーと出会い、16年に彼の妻が亡くなると、正式に結婚。22年の夫の死後は相次ぐ子どもの死や経済的困窮などに見舞われる。未亡人となってからの旺盛な執筆活動は、生活費や子どもの学費を得る目的もあった。主な作品に『フランケンシュタイン』『ヴァルパーガ』『最後の人間』『パーキン・ウォーベックの運命』などがある。
[訳者]小林章夫
1949年東京生まれ。上智大学文学部英文科教授。専攻の18世紀イギリス文学を中心に近代イギリスの文学・文化を多角的に研究する。'85年、ヨゼフ・ロゲンドルフ賞受賞。主な著書に『コーヒー・ハウス』『イギリス名宰相物語』『エロティックな大英帝国』。主な訳書に『ワイン物語』(ジョンソン)ほか。
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2013年1月28日 光文社古典新訳文庫編集部 |


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