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〈あとがきのあとがき〉 あの女優主演でドラマ化したい!時代を超越するとびきりおしゃれなラブコメディ──張愛玲『傾城の恋/封鎖』の訳者・藤井省三さんに聞く

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1941年、被占領下の上海。いまや火の車となった名家出身のヒロインは、兄夫婦たちから疎まれるバツイチ出戻りである。ある日妹の見合いに同行した彼女は、イギリス育ちの青年実業家に見初められ、香港に招かれることに。果たして勝気なお嬢様は、プレイボーイからプロポーズの言葉を引き出すことができるのか......?

オールド上海の文壇に彗星の如く現れた張愛玲(1920-1995)が1943年に発表した、スリリングな恋の駆け引きを描く短編「傾城の恋」、他4編を翻訳した藤井省三さんにお話を伺いました。

《収録作品》さすがは上海人/傾城の恋/戦場の香港──燼余録/封鎖/囁き


裏切り者から若手作家のお手本へ

──日本人には、もしかすると張愛玲(ちょうあいれい、チャン・アイリン)という名前よりも、日本でも話題を呼んだ映画『ラスト、コーション』(2007年)の原作者、アイリーン・チャンと言った方が心当たりのある人が多いかもしれません。彼女は、いま現在も中国で人気の作家なのでしょうか。

Zhang Ailing 1954
張愛玲(ちょうあいれい、チャン・アイリン)

藤井 今回翻訳するにあたり、台湾で20年以上前に出た全集を底本としたのですが、誤植があるんですね。それでこの、中国で有名な出版社から出たシリーズを第二底本としました。奥付には、2013年3月で第六刷と記されています。前年6月が初刷ですから、そんな具合で、出れば必ず何十万部と売れる作家です。

──何十万部......!日本ならベストセラー作家ですが、人口と読書市場の規模の違いでしょうか。

藤井 中国では村上春樹の翻訳も増刷といえば1万部、2万部単位です。中国で売れた本というならば最低でも50万部。4、5万部はふつうですね。

──魯迅と並び20世紀中国文学を代表する存在ということですが、それは、中高大学生ならどの作品も知っていて当然という感じですか。

藤井 魯迅と並ぶというのは、文学史的な重要性においてという意味でして、国語教科書的な意味ではありません。中国では中学、高校の教科書で、全部で30編ぐらいの魯迅作品を読んで、しかも暗記させられたりします。そのうえ、きちっと共産党の決めた通りに解釈しないと、テストで点が取れない。そういう一種の受験教育の定番として教えられているものですから、中高6年間でみんな魯迅嫌いになって大学に入るわけです。その後社会に出て、いろいろ醜い現実に触れて、ああ、『阿Q正伝』に書いてあった通りだなと思って、初めて魯迅の作品集なんかを買ってもう一回読む。だいたいそういう形で戻っていくんです。

──それとは違い、張愛玲は教科書に載ったりするようなタイプの作家ではない。

藤井 ないです。と言いますか、政治的な問題があります。たとえば、上海で、張愛玲の没後20年(2015年)に記念碑を立てる計画が上がったんですけど、一部の現代文学の研究者からあれは「漢奸(カンカン)」、つまり中国の、漢民族の裏切り者だという意見が出て実現しませんでした。もちろん文学史ではちょこっと名前は出てきますが、授業では飛ばされて、ほとんど無視されています。ですから、学生にとって張愛玲というのは謎の存在なんです。謎の作家に興味を覚えた文学好きの読者が愛読しており、解禁直後の1980年代から90年代に圧倒的な人気を博しました。その子供の世代の間では、この10年ぐらいは一種の古典として2、3冊は読まれている。そんな感じです。全集20冊をすべて読んでいるような人は相当な文学好きですね。

──解説で、1970年代生まれの衛慧(えいけい)と安妮宝貝(アニー・ベイビー)を例に挙げて、「『村上春樹チルドレン』作家は『張愛玲の娘たち』でもある」と書いてらっしゃいますが、なにか共通点があるのでしょうか。

藤井 春樹と張愛玲、そしてマルグリット・デュラスは、1990年代から2000年代にかけての20年間に、若い人たちにもっとも影響を与えた作家です。1949年に人民共和国が成立した後、魯迅や人民文学の趙樹理(ちょうじゅり)は、いわば共産党のイデオロギーを民衆に伝えるための道具化していきます。魯迅はじつは反体制作家だったのですが、都合のいいように解釈し直され、中国共産党の宣伝に使われました。一方、それに使えない作家たちもいる。

──張愛玲がその一人ですね。

藤井 上海時代の夫は日本に協力した政府高官ですし、アメリカに亡命した彼女は、人民共和国成立後に『赤地の恋』や『農民音楽隊』など共産党批判の小説を書いています。つまり張愛玲は二重の裏切り者です。だから、かつては図書館からも消されていました。1966年に始まる文化大革命の10年間で、すべての文学、芸術が失われました。1980年代の改革・開放を経て社会が豊かになると、読書市場が広がり、「共産党の喉」じゃないものが商業出版できるようになっていきますが、そのときに若い作家たちにはお手本にする文学がなかった。では誰に学ぶのかというと、まず張愛玲、デュラス、そして村上春樹だったのです。

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張愛玲の全集(底本)
「けいじょう」か?「けいせい」か?

──タイトルについてTwitter経由で質問がありました。傾城を「けいせい」ではなく「けいじょう」と読むのはなぜかというものです。たしかに国語辞書には前者で掲載されていています。

藤井 中国の古典では、傾城というのは城が傾くこと。古代中国では城と言っても、大きな城壁に囲まれた町のことです。住民は日中、城壁外の畑に行って農作業をして、夕方になると帰ってくる暮らしをしていました。町は小さな都市国家だったので、城はそもそも国を意味します。傾城傾国ということばがありますが、これは城を傾ける、国家を滅ぼすほどの絶世の美女の喩えですね。きれいな女性が現れて、王様はその女性に夢中になって、政治をちゃんとやらずに敵に国を滅ぼされてしまう。逆に言うと、敵は美女を送り込んでたぶらかすわけで......。

 

──ハニートラップですね。

藤井 そうそう(笑)。日本でも、古文・漢文の世界では、国が傾くという意味で「けいじょう」と読むんです。それが江戸時代の歌舞伎とか、とくに近松の浄瑠璃などでは「けいせい」と読ませて、遊女、浅草だとかの花魁を表す言葉として使われるようになる。それはそれで日本の江戸文学の伝統で、歌舞伎ファンが「けいせい」と読むのは当然のことなのです。でも本書では、これは中国の正統的な古典に由来する言葉であって、江戸の歌舞伎や浄瑠璃の「けいせい」とは違いますよということで、わざわざ「けいじょう」とルビをふりました。

──すっきりしました。なるほど、小説の後半では、大東亜戦争が勃発して、日本軍の侵略によって香港が陥落するまでの混乱が描かれていますね。

藤井 27年前に『浪漫都市物語 香港・上海 '40S』(JICC出版)で最初に訳したときは、「戦場の恋」としたんです。「けいじょう」「けいせい」がややこしくて誤解されるといけないし、じっさいに戦争も起きているので。でもやっぱり「傾城の恋」として広く伝わっていますし、1984年にアン・ホイ監督が撮った映画も『傾城之恋』でした。あと、英語翻訳のLove of Fallen Cityも、落城した都市の恋というふうに直訳しているもんですから、今回は「傾城の恋」に変えることにしました。

──同じ作品なのにどうしてタイトルが違うのか疑問でしたが、いまお話を聞いてやっとわかりました。でも、なんとなく違和感があるというか。「戦場の恋」という字句からは、主人公たちの戦火のさなかで恋の駆け引きを繰り広げるみたいなイメージが浮かんだもので。

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青年実業家 范柳原を演じたチョウ・ユンファ
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藤井 張愛玲は戦後、香港映画の脚本をいくつも書いていて、じつは、そのひとつにThe Battle of Love、『恋は戦場』という作品があるんですよ。タイトルそのまま、恋愛とはまるで戦場のようなものだという。これがものすごくよくできたおもしろい映画で、それもちょっと意識していました。

──そうだったんですね。藤井さんは以前、「北川景子主演のラブコメみたいな感じで受け取ってもらってもいい」とおっしゃっていたのですが、いま「傾城の恋」を映画やテレビドラマにしてもまったく無理がない気がします。

藤井 先述の映画では、ヒロインを見初める青年実業家をチョウ・ユンファが演じていて、さまになっていました。ですが、白流蘇(パイリウスー)を演じたコラ・ミャオは、元ミス香港の美しい人ながら地味な印象で、恋の駆け引きを始めてからパッと輝きを増していくヒロインにはちょっと物足りなかった。香港でも日本でも映画の評価はいまひとつで、張愛玲が脚本を手がけた他の作品と比べてもヒットせず、女優がミスキャストだったのではないかと言われています。

──今こそ日本でリメイクを!

藤井 主演女優は北川景子ですね。

──ちょっと勝気なヒロインのイメージにピッタリです。

藤井 そうすると男優を誰にするか。ちょっと前なら若き日のキムタクだったんでしょうけど。

──英国育ちの大金持ち......ディーン・フジオカあたりでしょうか。勝手なことを言ってますね(笑)。

洒落た会話をする教養はどこから来たか

──本作の魅力は、まずなんといっても、バツイチお嬢様のヒロイン白流蘇と遊び慣れたリッチな青年実業家の范柳原(ファンリュウユアン)が繰り広げる、スタイリッシュな会話です。そうではありますが、男性の目線で柳原の発することばを読むと、なんとも気障というか、鼻につくというか......。

藤井 まあ、そう思うんですけど、彼はわたしたちなんかと身分が違うわけですよ。東南アジアで大成功した華僑のすごいお金持ちです。ゴムの農園をいくつも持っていて、ホテルにも投資していて、ヨーロッパ的な社交術を身につけて洗練されている。それはそれは磨きのかかった男なんですから。

──たしかにヨーロピアンだと思えば、くさく感じないですね。いや、もし仮に女性が、内心、気取っちゃってちゃんちゃらおかしいわと思うにしても、おかまいなしにそのぐらいのことをスルスルと言う男性はいると思います。

藤井 わたしが若い頃に読んだフランスの小説『悲しみよこんにちは』は、フラソワーズ・サガンが18歳で書いたものですが、そういうセリフを男たちに話させていますよね。ですからまあ、ヨーロピアンですと、べらぼうにお金持ちでなくても、中産階級の人たちだったら、そのくらいの気障な会話を楽しむんだろうと思います。日本を基準にして考えちゃいけない。世界レベルのとんでもないお金持ちが没落した元お金持ちのお嬢さまをナンパしている。そういう場面なんです。

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映画の制作年は1984年。日本での公開は1992年7月だった。

──柳原に対する流蘇の気の利いた返しもなかなかのものですね。

藤井 彼女のああいう洒落た会話をする教養というのは、一体どこから来たものなのか。というのは、柳原が『詩経』という中国の古典、日本でいうと『万葉集』みたいなのを引用してこう書いてあると言いかけると、わたしはそういうことはわからないと返すんですね。日本の百人一首のようなもので、どうかすると全文、最低でもさわりの部分は暗記しているというのが、中国の旧制中学、女学校に行ったぐらいの教養なんです。彼女はおそらく、兄たちに少し字を習ったくらいだと思います。

──「ろくに学校に行ってないし、力仕事もできない」から自立もできないと流蘇が嘆く場面もありました。でも20人もの大家族ですし、そこで日々揉まれていると会話術にも長ける?いや、いまいち説得力に欠けますね。

藤井 もしかすると伝統劇ではないかと思います。日本でいうと歌舞伎とか、文楽みたいなもの。当時の上海ですと、20世紀の初めぐらいから大流行していた紹興劇という、魯迅の故郷の紹興が発祥で、日本の宝塚歌劇団みたいな、女性だけの、女性が男役もやってしまう、歌と踊りが中心の伝統的なオペラがあったんです。小説の前半に、子どものときに芝居を観に行ってどうのという話も出てきたので、一家はしょっちゅうそういうところに通っていたんでしょう。古典の芝居というのは、基本的に恋物語か、チャンバラか、あるいは両方を組み合わせたものですから、彼女はたぶんそこで丁々発止としたやりとりを覚えていて、洒落た会話を蓄積したんだろうと思います。他にちょっとないんですね。本や映画に親しんでいる様子もない。

──妹の見合いに付き添い、柳原の提案でみんなで映画を観て、その後ダンスホールで踊ったとありました。実家では誰も絶対そんなところには行かないけれども、お嫁に行った先でそういうハイカラなことを覚えたんだろうと。ダンスは元夫の趣味なわけですね。

藤井 そうです。遊び人のお金持ちは、夜な夜な妻を連れてダンスホールに行っていたんでしょう。

──ダンスホールのような夜の社交場でそういう会話を覚えたとか?

藤井 たぶん夫としか踊っていないからそれはない。しかも夫婦は全然うまくいっていない。暴力がひどくて別れたのだとしても、仲が良かった時期があるなら、ふつうは元夫が亡くなったと聞いて、なにかこう、かわいそうにとか、嫌な奴だったけどこういうところはよかったとかシンミリすると思うんですけど、まったくそれがないのですよ。心の交流もない仮面夫婦で、夫も結婚当初は妻をダンスホールなんかに連れ出してみたけどおもしろくないから、お妾さんを作っちゃって、家に入れちゃって、みたいなところかと。ですから元夫とは、ああいう洒落た会話はたぶんしていなかったと思います。

──お妾さんは張愛玲の父親にもいましたし、流蘇の妹も柳原も「妾腹の子」という設定ですし、白流蘇が恋の駆け引きに全プライドをかけて挑むのも柳原のお妾さんではなく正妻になるため......と、作家と作品に、ちらほらお妾さんという立場が見え隠れするのですが、当時の中国ではどういう女性たちがそうなるのだろうとちょっと気になりました。

藤井 正妻を迎えるには、基本的に家柄の釣り合いのとれた同士で見合い結婚をするんですけど、お妾さんはだいたいが貧しい家の女の子ですね。大金を払って買う。正式に結婚するときも、貧乏人は一種の売買婚です。夫になる側が今の日本のお金で、1000万円とか2000万円という結納金を払ってお嫁さんをもらいます。これがお金持ちになると事情が違って、親が娘に、それこそ1000万とか2000万、いや、億ぐらいの持参金を持たせて嫁に出すんですが。しかもお付きの女中さんもつけて。

──張愛玲の母親は、それこそ富裕層の出身ですよね。

藤井 そうです。のちには、莫大な持参金を使い果たしてしまうようですけど、上海の人口のトップ0.1%ぐらいの大金持ちの出身です。そういう人たちとは違う貧しい家の親は、たとえば、子どもが全員女の子でみんな結婚して出て行っちゃったら、老後は誰が面倒をみてくれるのかという不安がある。だから、社会保障もない世の中では、老後の年金代わりに高額の結納金を受け取っていたのは仕方がなかったのだろうと思うんです。

──本作では、柳原と流蘇がスタイリッシュな会話で展開する華麗な恋の駆け引きと、兄夫婦たちと流蘇がけんか腰でするお金、お金、お金という世知辛い口論とのコントラストがおもしろくもあるのですが、一方で、後者は胸苦しく、複雑な気持ちにもなります。

藤井 口論の途中で四奥様(4番目の兄の妻)が、家の中ではお金の話はしないものだと前置きしつつやっぱりお金の話を続ける場面があります。基本的にははしたないのでおおっぴらにせず、こっそりするものなんでしょう。けれど、家がどんどん貧しくなって、これ以上田畑も売れないほどの状態で日中戦争が始まり、日本軍の占領下に置かれた上海の経済は一気に悪くなるわけです。その二重苦で、没落に没落が続いてしまい、一家はほんとうに苦しかったんだろうと思います。

──金持ち喧嘩せずなどと言いますが、苦しいとはいえ、なにも出戻った妹の食い扶持であそこまで揉めなくても......。

藤井 一家総勢20人もいるんですしねえ。

──せめて1人分ぐらいはと思ってしまいます。

俯く中国女性というイリュージョン

──柳原の口説き文句の中に、「君の特技は俯くこと」というのがありました。あれは、中国女性の美徳として共通認識されているから言ったのでしょうか。

藤井 いわゆる三従、中国では女は生涯、三つに従うものだからですね。子どものときには父親に従って、結婚したら夫に従って、年を取ったら息子に従う。とにかくずっと男の言う通りに動けというのが、伝統的な中国の女性のあり方だった。そういう意味では、ずっと俯いていなければいけない。それは彼がイギリスで見てきた、教育を受けて、社会に進出して胸を張っている女性たちとは違うし、中国でお見合いをした上流や中の上の家庭の、豊かさを背景に胸を張っている女性たちとも違う。俯いて男性に従うというところに、彼は伝統的価値観の美徳を見ているわけです。つまりこの子だったら、良家の出身だけどお妾さん、愛人になってくれると期待している。

──自分の思い通りになるだろうと。なかなかずるい男ですね。

藤井 彼は最初から彼女を妻に迎えるつもりはないわけです。

──そう思うと、彼女が繰り出す小粋な言葉の数々が、ちょっと辛い感じに読めてきます。

藤井 それしか武器がない。言葉で惹きつけていくしかない。でも、"あなたを愛しています"と自分から言っちゃうと、"じゃあ、はい、愛人になってください"となるので、それは言えないんですね。

──柳原は流蘇を「君は本当の中国人」とも評価していて、中国人と上海人を区別して使っています。文庫に同時収録されているエッセー「さすがは上海人」では、上海人はセンスがよくて、一筋縄ではいかないものを好む通(つう)だと張愛玲は述べていますが、明確に中国人とイメージが違うわけですよね。

藤井 160年前まで小さな港町に過ぎなかった上海は、急速な発展を遂げて、世界有数の都市になりました。今も当時も、中国で一番お金持ちで欧米化している経済都市、文化都市です。ということで、上海人は上海が世界で一番いい町だと思っているし、そしてまた中国人も上海に憧れるのです。

──流蘇は上海出身だけれど、彼の目には、そういう堂々と胸を張った上海人とは違って映っているわけですね。あと、やはり二人の駆け引きの場面で出てきた「恋愛中の女性はしばしば男性の言葉がわからない」という一文も気になりました。あれはどういうことが言いたかったんでしょう。

香港レパルスベイの夜景
1900年代のレパルスベイ・ホテルの雰囲気がわかる写真が掲載されているウェブサイトはこちら

藤井 現代日本で、わたしたちのような人間が恋愛をするときは、たとえ経済的な差があろうと二人の関係は対等ですが、ここでは違う。大富豪と没落名門という身分の差があるのです。人生経験もまったく違いますから、彼女は彼が言っていることがよくわからなくて当然です。しかも彼は、俯く女性、つまり全部を男に捧げてくれる伝統的な中国女性に、ある意味で、オリエンタリズム的な魅力を感じているわけです。何十年か前まで、欧米人が日本女性に抱いていたイメージみたいなもの。なんでも男に尽くしてくれる芸者ガール的な女性が日本の伝統みたいに思いこむ、あの感覚で柳原は流蘇に接している。彼はありえない幻想、イリュージョンを女性に抱いているから、いろいろなことを言うわけですね。おしゃべりだし。ですから、彼女はわからなくてもいい。だから黙っている。

──ただし、ここでは「女性はしばしば」と言っています。女性であって彼女ではない。

藤井 語り手はずっと彼と彼女の気持を語っていたのに、あそこでパッと作者張愛玲の世界観というか、恋愛観が出てきちゃっている。そこは叙事スタイルがある意味で例外的になっているところで、それが張愛玲文学のおもしろさでもあります。しかも、彼女は彼のことをかなりよくわかっていて、言われれば必ず打ち返して、ピンポンのようにパンパンやり合っているから、じつは黙っている場面ってあまりにないんですよね。あと、敬語もほとんど使っていない。

──それは、原文がいわゆるタメ口なのですか。

藤井 タメ口です。今までの日本語の翻訳では、ヒロインがお嬢様、相手はお金持ちという設定から、流蘇が敬語で、柳原がわりと偉そうにタメ口をきいているんですけど、実はそうじゃないんです。原文では、最初から最後まで彼女は彼と対等の言葉づかいをしています。ですから、恋していると女性は男性の言葉がわからないと語り手の張愛玲が言うのは、じつは物語とズレている。あれはたぶん読者へのアドバイスなんじゃないですかね。この小説のヒロインはすごく賢いし、没落したとはいえ元名門の家のお嬢様だからパンパン打ち返せるけども、普通の人は、うまく返せないときは下手なことを言わずに黙っているほうがいいわよ、と。

──タメ口で交わす会話は、流蘇が将来への不安を抱えながらも、緊張感あふれるこのやりとりを楽しんでいる感じも伝わってきますね。だけどこれって、正直、恋愛なのかなという疑問もあります。

藤井 恋愛というのは対等でないといけないわけで、もちろんまったく対等な人間関係ってあり得ないですけども、この小説では、男性が圧倒的に有利なんですよね。対する女性は、自分の実家でも戦っているし、外へ出ても恋愛相手と戦っている。その相手に恋愛のところまで下りてきてもらう、あるいは自分がそこまでステップアップしようとして戦い続けている。結局は、途中で妥協してしまってお妾さんになるけれども、香港戦争が起きたことによって二人は対等になるという。

──身分なんか意味をなさない極限状態に陥ったところで、初めて、ああ、二人は恋に落ちたんだと思いました。それまでは恋愛というかなんというか......。

藤井 ゲームですね。張愛玲のおもしろさというのは、背景に家族の問題だとか、戦争の問題、国家の問題というのを置きながら、きちっとエンターテインメント系物語を描けるところです。つまり両方で読める。ラブコメとしても読めるし、時代を描く、政治とか、経済のシリアスな小説としても読める。いろいろな読み方ができるように描いているところが、やっぱりすばらしい。

──ラストで、柳原はもはや流蘇を相手に洒落たしゃれた会話はしないと書かれていて、心にざわつきが残りました。

藤井 夫婦となった二人の間では、もうそんなテクニックを尽くす必要はない。その分、外へ行って他の女の子を相手にそれをやっている。もう彼女をそういった緊張感あふれるゲームの相手とみなしていないわけで、もしかしたら浮気をしているかもしれない。

──あの一文がほんとうに絶妙で、綺麗にまとまったところに一点のシミのようなものを、こう、落としておくというか。

藤井 ハッピーエンドじゃないんですよね。不安を残して、話を中途にしちゃうという。

──ひと筋縄でいかない作家ですね。さすがは上海人です。

(聞きて:丸山有美、中町俊伸)

傾城の恋/封鎖

傾城の恋/封鎖

  • 張愛玲/藤井省三 訳
  • 定価(本体860円+税)
  • ISBN:75377-1
  • 発売日:2018.5.9

2018年7月 6日 光文社古典新訳文庫編集部 |

『傾城の恋/封鎖』(張愛玲/藤井省三 訳)

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傾城の恋/封鎖

傾城の恋/封鎖

  • 張愛玲/藤井省三 訳
  • 定価(本体860円+税)
  • ISBN:75377-1
  • 発売日:2018.5.9
  • 電子書籍あり

被占領下の上海と香港
バツイチのお嬢様×プレイボーイの青年実業家
プライドを賭けた恋の駆け引き

現代中国文学を代表する張愛玲の傑作

作品

「かつてオールド上海に、華麗な文体と巧みな構成による恋愛小説を引っ提げ、彗星のごとく登場した作家がいた。その名は張愛玲(チャン・アイリン)、英語名をEileen Changという」(解説)。魯迅と並び20世紀中国文学を代表する張愛玲の珠玉のラブストーリとエッセーを収録。


物語

離婚後、没落した実家に戻っていた白流蘇(パイリウスー)。異母妹の見合いに同行したところ英国育ちの青年実業家に見初められてしまう「傾城の恋」。封鎖中の路面電車のなかでの男女の行きずりの恋を描いた「封鎖」。占領下の香港と上海が舞台の恋物語と自伝的エッセー「戦場の香港」ほかを収録。


訳者あとがきより

張愛玲(ちょうあいれい、1920~95)は魯迅と並ぶ現代中国文学の源流でして、共に伝統中国の腐蝕と西欧近代の酷薄に鋭い視線を投じました。但し作風は大いに異なり、魯迅がたとえば短篇小説「故郷」で貧しい農民閏土(ルントウ)への深い共感と、語り手「僕」というインテリ都会人の軽薄さを、暗い村の風景の中でシンミリと描き出すのに対し、彼女は代表作「傾城(けいじょう)の恋」で上海の没落資産家の出戻り娘がイギリス華僑のプレイボーイを相手に繰り広げる大恋愛を、ゴージャスなコロニアル香港を舞台として華麗に描くのです。都市と農村、女性と男性、上流・中産と貧困・底層......と両作家の語りの視点は大きく異なっています。思想性の濃い魯迅文学とエンターテインメント性も併せ持つ張愛玲文学と対照することもできるでしょう。

収録作品
  • さすがは上海人
  • 傾城の恋
  • 戦場の香港──燼余録
  • 封鎖
  • 囁き

張愛玲
[1920--95] 上海で祖父は政府高官で祖母は李鴻章の長女という大家族のもとで生まれ育つ。アメリカのミッション系小学校に編入し、張煐から張愛玲に改名。ロンドン大学への留学を希望するが父の猛烈な反対にあい、日本軍の上海侵攻も重なり断念。1939年に香港大学入学。実家の経済状況が悪化し退学。文筆活動を始め、エッセー、短編小説が評判となる。1944年発表の小説『伝奇』が発売4日後で売りきれるという大ベストセラーになり、作家としての名声を不動のものとした。1955年にアメリカに移住。1960年に市民権を得て、生涯中国には帰らなかった。『赤い恋』『農民音楽隊』ほか著作多数。
[[訳者]藤井省三
1952年生まれ。現代中国文学者。1991年魯迅研究により文学博士。著書に『魯迅事典』『魯迅「故郷」の読書史』『村上春樹のなかの中国』。訳書に『魯迅全集・第12巻「訳文序跋集」』(共訳)、『酒国』(莫言)、『神樹』(鄭義)、『夫殺し』(李昂)、『故郷/阿Q正伝』(魯迅)ほか多数。
《関連刊行本》
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2018年5月 8日 光文社古典新訳文庫編集部 |

かわさき市民アカデミー「古典は新訳で召し上がれ! 古典新訳で楽しむ世界文学」受講申し込み受付中です。9月27日スタート。

川崎市の生涯教育講座「かわさき市民アカデミー」の2017年度後期講座で、「古典は新訳で召し上がれ! 古典新訳で楽しむ世界文学」が開講されます。

全12回の講座で、初回は古典新訳文庫の創刊編集長・駒井稔が概論を、藤井省三先生(東京大学教授)、小林章夫先生(帝京大学教授・上智大学名誉教授)、中条省平先生(学習院大学フランス語圏文化学科教授)に3回連続講義を、鈴木芳子先生(翻訳家・ドイツ文学者)には2回連続講義をしていただきます。

初回は9月27日(水)10時30分~12時です。詳しい内容・お申し込みは「かわさき市民アカデミー」のウェブサイトをご覧ください。

かわさき市民アカデミーウェブサイト
故郷/阿Q正伝

故郷/阿Q正伝

  • 魯迅/藤井省三 訳
  • 定価(本体780円+税)
  • ISBN:75179-1
  • 発売日:2009.4.9
  • 電子書籍あり
フランケンシュタイン

フランケンシュタイン

  • シェリー/小林章夫 訳
  • 定価(本体800円+税)
  • ISBN:752160
  • 発売日:2010.10.13
  • 電子書籍あり
にんじん

にんじん

  • ルナール/中条省平 訳
  • 定価(本体 760円+税)
  • ISBN:75351-1
  • 発売日:2017.4.11
  • 電子書籍あり
読書について

読書について

  • ショーペンハウアー/鈴木芳子 訳
  • 定価(本体743円+税)
  • ISBN:75271-2
  • 発売日:2013.5.14
  • 電子書籍あり

2017年7月12日 光文社古典新訳文庫編集部 |

紀伊國屋書店Kinoppy&光文社古典新訳文庫読書会#16「中国近代文学の父、魯迅の魅力に迫る」 藤井省三さんを迎えて 紀伊國屋書店新宿本店で4月8日(金)開催

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紀伊國屋書店電子書店Kinoppyとのコラボレーション企画「Readers Club読書会(Readin Session)」、第16弾は魯迅『故郷/阿Q正伝』『酒楼にて/非攻』の訳者・藤井省三さんをお迎えして開催いたします。

魯迅(1881-1936)は中国の国民革命期を生きた作家。日本での留学を経て文化の改革の必要性に目覚め、帰国後に口語体と西洋文学の手法を導入して、中国に新しい文学をもたらしました。魯迅の作品はいまも日本で広く読まれ、教科書にも必ずといってよいほど登場します。魯迅は激動の時代に何を感じ取り、何を描き、現代の中国と日本の関係に何を遺したのでしょうか。

日本を代表する中国文学者、藤井省三さんを招き、魯迅文学の魅力をたっぷりと語っていただきます。

紀伊國屋書店Kinoppy&光文社古典新訳文庫
Readers Club読書会(Readin Session)
「中国近代文学の父、魯迅の魅力に迫る」藤井省三さんを迎えて
《日時》2016年4月8日(金)18:30開演 (18:15 開場)
《会場》紀伊國屋書店新宿本店 8階イベントスペース
《定員》50名  ※定員に達し次第、受付を終了させていただきます。
《参加費》無料
《参加方法》2016年3月16日(水)午前10時より紀伊國屋書店新宿本店2階レジカウンターにてご予約を承ります。お電話でのご予約も同日より承ります。
《ご予約・問い合わせ》 TEL:紀伊國屋書店新宿本店2階直通 03-3354-5702 (10:00〜21:00)
※紀伊國屋書店新宿本店の他の電話番号におかけになられても、ご予約は承れませんのでご注意下さい。
※イベントは90分〜2時間程度を予定しております。トーク終了後ご希望の方には藤井省三さんの著書・翻訳書にサインをお入れします。
※19:30以降の入場はお断りさせて頂く場合がございます。あらかじめご了承ください。
詳しくは 紀伊國屋書店新宿本店ウェブサイトをご覧ください
[藤井省三さんプロフィール]
1952年生まれ。東京大学文学部教授。1991年魯迅研究により文学博士。著書に『魯迅と日本文学――漱石・鷗外から清張・春樹まで』『魯迅辞典』『魯迅「故郷」の読書史』『村上春樹のなかの中国』など。訳書に『故郷/阿Q正伝』『酒楼にて/非攻』(魯迅)、『透明な人参 莫言珠玉集』『酒国』(莫言)、『神樹』(鄭義)、『夫殺し』(李昴)ほか多数。
故郷/阿Q正伝

故郷/阿Q正伝

  • 魯迅/藤井省三 訳
  • 定価(本体780円+税)
  • ISBN:75179-1
  • 発売日:2009.4.9
酒楼にて/非攻

酒楼にて/非攻

  • 魯迅/藤井省三 訳
  • 定価(本体743円+税)
  • ISBN:75215-6
  • 発売日:2010.10.13

2016年3月15日 光文社古典新訳文庫編集部 |

『酒楼にて/非攻』(魯迅/藤井省三 訳)

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酒楼にて/非攻

酒楼にて/非攻

  • 魯迅/藤井省三 訳
  • 定価(本体743円+税)
  • ISBN:75215-6
  • 発売日:2010.10.13
  • 電子書籍あり

悩む魯迅、笑う魯迅 中国近代文学の草創期を代表する実験的小説群

作品

伝統批判だけでなく、当時中国人が獲得しつつあった近代性に対しても懐疑の目を向けた『彷徨』。激しい喜怒哀楽の情をたぎらせる古代の英雄聖賢を描く『故事新編』。中国革命を生きた文学者、魯迅の異色作品を紹介。


内容

度重なる不幸で精根尽き果てていく女を描く「祝福」。すっかり様変わりした昔の友人の、閉塞感と郷愁に満ちた来し方の物語「酒楼にて」。春秋戦国時代に、思想と技術と組織力で反戦に奔走する思想家墨子の、静かなる闘いを描く「非攻」。意外な魯迅像が発見できる代表作8篇。

収録作品
  • 彷徨(ほうこう)
  • 祝福
  • 酒楼にて
  • 石鹸
  • 愛と死--------涓生(チュアンション)の手記
  • 故事新編(こじしんぺん)
  • 奔月(ほんげつ)----弓の名人の(げい)と月へ逃げたお后(きさき)の物語
  • 鋳剣(ちゅうけん)----眉間尺(みけんじゃく)少年と黒い男の復讐の物語
  • 非攻(ひこう)----平和主義者の墨子(ぼくし)と戦争マニアの物語
  • 出関(しゅっかん)----砂漠に逃れた老子(ろうし)と関所役人の物語

魯迅 Lu Xun
[1881−1936] 中国浙江省紹興の地主・官僚を兼ねる知識層の士大夫の家に生まれる。1896年に父が病死して、家も傾く。1902年日本へ留学し医学を志すも、文化の改革の必要性を痛感して文学に転向。留学中には欧米文学の中国への紹介・翻訳に力を注ぐ。'09年の帰国後は、雑誌『新青年』を中心に起きた、口語文による「新しい国語」で、民衆を国民国家の成立へ向けて導こうとする文学革命運動に参加。'18年に代表作『狂人日記』、'22年『阿Q正伝』を発表。旧制度、旧道徳の病根を描いた作品は中国現代文学の礎となった。
[[訳者]藤井省三
1952年生まれ。現代中国文学者。1991年魯迅研究により文学博士。著書に『魯迅事典』『魯迅「故郷」の読書史』『村上春樹のなかの中国』。訳書に『魯迅全集・第12巻「訳文序跋集」』(共訳)、『酒国』(莫言)、『神樹』(鄭義)、『夫殺し』(李昂)、『故郷/阿Q正伝』(魯迅)ほか多数。
《関連刊行本》
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2013年1月28日 光文社古典新訳文庫編集部 |

『故郷/阿Q正伝』(魯迅/藤井省三 訳)

ホーム > Booksリスト > 故郷/阿Q正伝

故郷/阿Q正伝

故郷/阿Q正伝

  • 魯迅/藤井省三 訳
  • 定価(本体780円+税)
  • ISBN:75179-1
  • 発売日:2009.4.9
  • 電子書籍あり

画期的新訳 ついに登場!!真の魯迅像を忠実に再現

作品

魯迅は中国が近代的国民国家へと大変貌を遂げる際に、主体的に変革に参加しない膨大な群衆、参加しようにも参加できない過去の幽霊のような人々を描き出し、新しい時代の国民性を模索した。(訳者)


内容

久しぶりに再会した幼なじみは、かつて僕の英雄だった輝きを失っていた......「故郷」。定職も学もない男が、革命の噂に憧れを抱いた顛末を描く「阿Q正伝」。周りの者がみな僕を食おうとしている! 狂気の所在を追求する「狂人日記」。文学で革命を起こした魯迅の代表作16篇。

収録作品
  • 吶喊(とっかん)
  • 孔乙己(コンイーチー)
  • 小さな出来事
  • 故郷
  • 阿Q正伝
  • 端午の節季
  • あひるの喜劇
  • 朝花夕拾(ちょうかせきしゅう)
  • お長(ちょう)と『山海経(せんがいきょう)』
  • 百草園(ひゃくそうえん)から三味書屋(さんみしょおく)へ
  • 父の病
  • 追想断片
  • 藤野先生
  • 范愛農(ファンアイノン)
  • 付録--『吶喊』より
  • 自序
  • 兎と猫
  • 狂人日記
魯迅 Lu Xun
[1881−1936] 中国浙江省紹興の地主・官僚を兼ねる知識層の士大夫の家に生まれる。1896年に父が病死して、家も傾く。1902年日本へ留学し医学を志すも、文化の改革の必要性を痛感して文学に転向。留学中には欧米文学の中国への紹介・翻訳に力を注ぐ。'09年の帰国後は、雑誌『新青年』を中心に起きた、口語文による「新しい国語」で、民衆を国民国家の成立へ向けて導こうとする文学革命運動に参加。'18年に代表作『狂人日記』、'22年『阿Q正伝』を発表。旧制度、旧道徳の病根を描いた作品は中国現代文学の礎となった。
[訳者]藤井省三
1952年生まれ。現代中国文学者。1991年魯迅研究により文学博士。著書に『魯迅事典』『魯迅「故郷」の読書史』『村上春樹のなかの中国』。訳書に『魯迅全集・第12巻「訳文序跋集」』(共訳)、『酒国』(莫言)、『神樹』(鄭義)、『夫殺し』(李昂)、『故郷/阿Q正伝』 『酒楼にて/非攻』(魯迅)ほか多数。
《関連刊行本》
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2013年1月28日 光文社古典新訳文庫編集部 |

香港作家・董啓章さん講演会「未来の考古学──21世紀初の香港エクリチュール」のお知らせ

東京大学中国語中国文学・藤井省三先生の研究室で開催される董啓章さんの講演会のお知らせです。

今年2月に藤井省三先生、直木賞作家・中島京子さんの共訳で刊行された小説集『地図集』(河出書房新社)の著者・董啓章さんが「未来の考古学──21世紀初の香港エクリチュール」と題して講演されます。

アイオワ大学が主催する国際創作プログラムで『地図集』に出会い、本作の翻訳をされた中島京子さんが司会を、熱狂的な香港・台湾映画ファンで映画評論集『香港映画の街角』(青土社)の著作もある野崎歓さん(東京大学文学部フランス文学教授)がコメンテーターとして参加されます。 ぜひ、ご参加ください。

香港作家・董啓章さん講演会「未来の考古学──21世紀初の香港エクリチュール」
日時/2012年12月8日(土)15:00〜17:30
会場/東京大学本郷キャンパス法文二号館2大教室
●東京大学本郷キャンパス内マップ>>
●東京大学本郷キャンパス交通アクセス>>

司会/中島京子さん
コメンテーター/野崎歓さん

《プログラム》
14:30 開場
15:00〜16:30 董啓章さん講演
(広東語通訳:李凱琳さん(香港中文大学大学院生・現在は東大中文研究室に留学中))
16:30〜17:00 野崎歓さんコメント
17:00〜17:20 参加者との質疑応答
17:30 閉会

■入場無料

cover79.jpg 故郷/阿Q正伝
魯迅/藤井省三 訳
定価(本体780円+税)

cover115.jpg 酒楼にて/非攻
魯迅/藤井省三 訳
定価(本体743円+税)

cover132.jpg うたかたの日々
ヴィアン/野崎 歓 訳
定価(本体914円+税)

2012年11月29日 光文社古典新訳文庫編集部 |

シンポジウム「東アジアにおける魯迅「阿Q」像の系譜」東京大学で開催

シンポジウム
東アジアにおける魯迅「阿Q」像の系譜
[日時]2012年11月23日(金・祝)24日(土) 10:00〜
[会場]東京大学本郷キャンパス山上会館 会議室001
[参加費(資料代)]1000円
[お問合せ/お申込み]23日・24日のシンポジウム、および24日の懇親会(会費6000円、院生・学生3000円)の出欠と、氏名・所属を明記して、E-mailで下記までお申し込みください。
●藤井研究室秘書 E-mail:xu_ziyi0330@yahoo.co.jp

2012年11月23日10:00〜
●開会の挨拶/藤井省三(東京大学教授)
●第1セッション/台湾における「阿Q」像の系譜
[報告者]張文薫(台北・台湾大学副教授)、張明敏(台北・健行科技大学助理教授)
[コメンテーター]伊藤徳也(東京大学教授)、三澤真美恵(日本大学教授)
●第2セッション/中国大陸・香港における「阿Q」像の系譜
[報告者]関詩珮(シンガポール・南洋理工大学助理教授、代読)、鄧捷(関東学院大学准教授)
[コメンテーター]林敏潔(南京師範大学教授、南京大学兼任教授)
2012年11月24日10:00〜
●第3セッション/韓国における「阿Q」像の系譜
[報告者]金良守(ソウル・東国大学教授)、任明信(北京・『人民画報』編集者)
[コメンテーター]小川利康(早稲田大学教授)
●第4セッション/日本における「阿Q」像の系譜
[報告者]王俊文(早稲田大学講師)、島村輝(フェリス女学院大学教授)、Faye Kleeman(Boulder・University of Colorado准教授)
[コメンテーター]藤澤太郎(桜美林大学専任講師)
●総括および閉会の挨拶/藤井省三(東京大学教授)
●懇親会

cover79.jpg 故郷/阿Q正伝
魯迅/藤井省三 訳
定価(本体780円+税)

cover115.jpg 酒楼にて/非攻
魯迅/藤井省三 訳
定価(本体743円+税)

2012年11月 5日 光文社古典新訳文庫編集部 |

長谷川 宏さん、藤井省三さん、亀山郁夫さん--新刊のお知らせ

長谷川 宏さんの新刊、藤井省三さん、亀山郁夫さん共著のお知らせです。

cover_hasegawa_kotoba.png『ことばへの道 言語意識の存在論』 
長谷川 宏/著
講談社学術文庫
2012年8月発売
価格:1,208円(税込み)

ことばを通して現実があらわれ、人間があらわれ、共同社会があらわれ、宗教があらわれ、芸術があらわれるという展望がなかったら、ことばを論ずる魅力はおそらく半減することだろう。―著者は「あとがき」でそう断じる。人として存在すること、社会のなかに在ることと、否応なくむすびついた「ことば」とはなにか。繊細でしなやかな哲学的洞察。


cover_haruki_2012.jpg『村上春樹の読みかた』 
石原千秋、亀山郁夫、三浦雅士、藤井省三、加藤典洋/著 菅野昭正/編
平凡社
2012年7月発売
価格:1,680円(税込み)

世界の文学の最前線に立つ村上春樹。その魅惑的な謎に満ちた小説世界の核心とは? 
世田谷文学館で行われた5回の連続講座をまとめた評論集。石原千秋、亀山郁夫、三浦雅士、藤井省三、加藤典洋、5人の講師陣と編者が村上ワールドの秘密に迫る。



2012年9月 3日 光文社古典新訳文庫編集部 |

藤井省三 Fujii Shozo

ホーム > 翻訳者リスト>藤井省三

藤井省三 Fujii Shozo
  • 故郷/阿Q正伝
  • 酒楼にて/非攻
  • 傾城の恋/封鎖
『故郷/阿Q正伝』『酒楼にて/非攻』(魯迅)
『傾城の恋/封鎖』(張愛玲)
1952年生まれ。現代中国文学者。1991年魯迅研究により文学博士。著書に『魯迅事典』『魯迅「故郷」の読書史』『村上春樹のなかの中国』。訳書に『魯迅全集・第12巻「訳文序跋集」』(共訳)、『酒国』(莫言)、『神樹』(鄭義)、『夫殺し』(李昂)、『故郷/阿Q正伝』『酒楼にて/非攻』(魯迅)ほか多数。

2011年9月25日 光文社古典新訳文庫編集部 |

『UP』4月号ー特集「東大教師が新入生にすすめる本」

東京大学出版会のPR誌『UP』4月号で「東大教師が新入生にすすめる本」が特集されています。

『故郷/阿Q正伝』翻訳者・藤井省三先生(東京大学人文社会系研究科・文学部教授)が「これだけは読んでおこう──研究者の立場から」の設問に、『故郷/阿Q正伝』をあげていらっしゃいます。

「魯迅は現代中国の原点であり,なかでも本作は,中国の文化政治経済に関心あらばすべからく読むべし」!

その他、19名の先生方の「おすすめ本」が下記に掲載されています。
東京大学出版会WebSite>>


cover79.jpg
故郷/阿Q正伝
魯迅/藤井省三 訳
定価(本体780円+税)

2010年5月 5日 光文社古典新訳文庫編集部 |


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