宝石のように輝くドイツ幻想文学の傑作
待望の新訳!

水の精(ウンディーネ)

水の精(ウンディーネ)

フケー    
識名章喜  訳   


作品

フケー自身の若い頃の恋愛体験がもとになり、誕生した『水の精(ウンディーネ)』。愛する者を殺さなければならない運命に苦悩するウンディーネの姿は、E・A・ポーやハイネを魅了し、ジャン・ジロドゥをはじめ、多くの作家にインスピレーションを与えてきた。


物語

妖しい森で道に迷った騎士フルトブラントは、湖の岸辺に立つ一軒の漁師小屋にたどり着く。そこで出会ったのは、可憐にして妖艶、無邪気で気まぐれな美少女ウンディーネだった。恋に落ちた二人は結婚式をあげるが......。水の精と人間の哀しい恋を描いたドイツ・ロマン派の傑作。


フリードリヒ・ハインリヒ・カール・ド・ラ・モットゥ・フケー    Friedrich Heinrich Karl de la Motte Fouqué
[ 1777 - 1843 ]    ドイツの作家。ブランデンブルク生まれ。フケー家はフランスのノルマンディー地方に起源をもつユグノー貴族の名門。17歳でプロイセン軍に入隊、対仏戦争に従軍する。1802年、ゲーテ、シラー、ヘルダーの知己を得たほか、A・W・シュレーゲルから文学全般・翻訳の指南を受ける。1810年、北欧の英雄伝説に題材をとった劇作『北方の英雄』三部作を刊行、好評を博す。この年から1815年にかけて、次々に作品を発表、幅広い読者から支持される。特に1811年発表の『水の精(ウンディーネ)』は、代表作となる。40代以降、騎士小説を多数発表するも成功を収めるには至らず。1843年1月23日、65年の生涯を終える。
[訳者] 識名章喜    Shikina Akiyoshi
1956年東京生まれ。東京大学大学院博士課程単位取得退学。現在、慶應義塾大学文学部教授(独文学専攻)。研究領域はドイツ近現代文学、ドイツ語圏のSF。主要訳書に、R・ザフランスキー『E・T・A・ホフマン』、J・ヘルマント『理想郷としての第三帝国』、E・シュタインドルフ『シュターツカペレ・ドレスデン』など。