青春は斯くも儚し

ラ・ボエーム

ラ・ボエーム

アンリ・ミュルジェール    
辻村永樹  訳   
19世紀中葉のパリ。 何者かになりたい若き〝芸術家〟たちの生を赤裸々に描いた小説。
作品
破茶目茶な生活ぶり、貧乏暮らしでの悪戦苦闘、すれ違い、また結ばれる恋......、 あぶり出される生の真髄! プッチーニのオペラ『ラ・ボエーム』、 ブロードウェイ・ミュージカル『レント』、映画『ムーランルージュ』 など、後世の多くの芸術に影響を与えた小説、待望の全訳!
物語
安下宿に暮らす音楽家ショナールは、家賃滞納で追い出される寸前。金策の途上で出会った詩人ロドルフ、哲学者コリーヌ、突然現れた画家マルセルと意気投合し......。気の多い女ミミ、金持ちの愛人ミュゼットらも加わり展開される、自由放埒で甘美な物語。本邦初、23の連作小説の全訳!
目次
ラ・ボエーム ボヘミアン生活の情景
一 ボエーム芸術集団結成の顚末
二 神様の使い
三 四旬節の恋人たち
四 アリ=ロドルフ または已むを得ずのトルコ人
五 シャルルマーニュの硬貨
六 マドモワゼル・ミュゼット
七 黄金の河
八 五フラン銀貨の値打ち
九 北極の菫(すみれ)
十 嵐の岬
十一 ボエームのカフェ
十二 ボエーム入会試験
十三 引越し祝い
十四 マドモワゼル・ミミ
十五 愛される限り……(ドネク・グラトゥス)
十六 紅海徒渉(としょう)
十七 三美神の身支度
十八 フランシーヌのマフ
十九 ミュゼットの気紛れ
二十 羽を得たミミ
二十一 ロミオとジュリエット
二十二 恋の終章
二十三 青春は斯くも儚し
付録一 序文
付録二 大使ギュスターヴ・コリーヌ閣下
 解説 辻村永樹
 年譜
 訳者あとがき
アンリ・ミュルジュール    Henri Murger
[ 1822 - 1861 ]   

フランスの詩人・小説家。パリの仕立て屋兼アパルトマン管理人の家に生まれ、貧困のなかで育つ。初等教育の後、公証人の雑用係となり、絵画、詩作に興味を持つ。カルティエ・ラタンの芸術家と交わるようになり、本書『ラ・ボエーム」 さながらの生活を送る。1844年、雑誌に発表した詩や文章が注目され始め、'45年、本書所収の連作が小新聞に発表される(~'49年)。'49年に初の舞台化、大成功をおさめる。'51年、これら連作を単行本化した 『ボヘミアン生活の情景』でも成功。'55年、都会を離れ、恋人アナイスと田園生活を始める。'58年、レジオン・ドヌール勲章受章。'61年、動脈炎により死去。

[訳者] 辻村永樹    Tsujimura Eiju

1978年生まれ。早稲田大学大学院フランス文学研究科博士後期課程単位取得退学。早稲田大学助手を経て、現在早稲田大学、群馬大学非常勤講師。専門は19世紀フランス文学、とりわけロマン主義文学。訳書にグザヴィエ・フォルヌレ著『失われた時』 (風濤社、2015年)がある。