2011.08.01

《書評》『梁塵秘抄』ー 朝日新聞朝刊 2011年7月31日

朝日新聞7月31日朝刊の書評で『梁塵秘抄』(評者:田中貴子さん/甲南大学教授)を取り上げていただきました。
ピチピチギャルは 十に プラスの四、五、六
レディの盛りは 二十三、四まで
三十四、五にもなったなら
きいろい紅葉の 枯れ落葉
(中略)
はやり歌は、現代でいえば歌謡曲に当たる、という主旨のもとに、川村氏は新たな現代語訳を生み出しました。その一例が、冒頭の歌です。
『梁塵秘抄』は「日本古典文学」として認識されていますので、このような大胆な訳は古典の冒瀆と息巻く方があるかもしれません。
 しかし、今様の解釈に「遊女の心情」を過剰に投影し、歌の内容と歌い手を素朴に結びつけてしまう過去の例を一蹴する試みとして、評価したいと思います。(中略)
 地道な研究に基づく「新訳」は、日本古典を今に活かす方向を批判的に示しているでしょう。「解説」も必読です。

cover128.jpg梁塵秘抄
後白河法皇/川村湊 訳 定価(本体781円+税)