おかげさまで光文社古典新訳文庫も、創刊6周年を迎えました。ここまでの道のりを支えていただいた読者の方々に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
この6年間は、あっという間に過ぎ去ったような気もいたしますが、すでに150冊を超える文庫を刊行してきたことを考えるとはるか遠くに来たという感慨もあります。古典という、ともすれば時代の変遷が激しい現代では忘れられがちな作品群に、熱い支持をいただいたことは望外の喜びでした。ネット社会にあって、人々は情報の奔流に身をゆだね、日々莫大な時間を消費しています。しかし古典が持っている時間は、全然違う物差でしか測れません。何百年と読まれてきた作品はついに消えることのない声を獲得しているのです。
新訳という言葉は、出版の世界で、すでに定着した感があります。翻訳が更新され続けることは、私たちの目指すところであったので、この流れをうれしく思います。
これからも初心を忘れずに、驚きに満ちた大胆かつ斬新な新訳を目指してまいります。今後とも光文社古典新訳文庫にお力添えをよろしくお願いいたします。