イタリア文化会館が今年から新設した、イタリア語から日本語への翻訳書に対して授与する「須賀敦子翻訳賞」を関口英子さんが受賞されました。受賞作は古典新訳文庫の『月を見つけたチャウラ ピランデッロ短篇集』(2012年刊)です。
『ピランデッロ短編集 カオス・シチリア物語』(白水社 2012年刊)を翻訳された白崎容子さん、尾河直哉さんと、3名が受賞されました。おめでとうございます。
岡田温司、木村榮一、柴田元幸、四方田犬彦、和田忠彦(委員長)の5氏からなる選考委員会の総評です。
「須賀敦子の名を冠した翻訳賞の第一回受賞作は、ひとりの20世紀文学の巨人が遺した厖大な短篇を、それぞれ異なる視点に立って編んだアンソロジー2冊となった。ルイジ・ピランデッロ(1867-1930)は劇作家として小説家として、ひたすら前のめりに近代化を急ぐイタリアの、ゆがみや陰翳を、ときに滑稽でときに愚かな人間の振る舞いに映した作家である。今回の2冊の受賞を契機に、劇作と小説と詩と評論をとおして、いまを生きる人間の在り様そのものが「不条理」であるとつたえた最初のイタリア作家の世界に、あらためて日本の読者が関心を寄せることを期待したい」
11月13日にイタリア文化会館で行われる授賞式に間に合うよう、『月を見つけたチャウラ』の新しい帯も作成中です。ぜひ、ピランデッロの2冊の短篇集を手にとってみてください。