2016.12.18

「光文社古典新訳文庫 読書エッセイコンクール2016」の入賞者決定!

「光文社古典新訳文庫 読書エッセイコンクール2016」の入賞者が決定しました。9回目となった今回も多数の作品をご応募いただきました。ありがとうございました。

12月18日発行の朝日中高生新聞に入賞者と小・中学生部門、高校生部門の最優秀賞作品が掲載されています。ぜひご覧ください。

【小・中学生部門】

  • 〈最優秀賞〉
    「手紙」/『あしながおじさん』
    高山寛乃さん(福岡県立育徳館中学校2年)
    〈優秀賞〉
    「誰にでも"悪"は存在する」/『ジーキル博士とハイド氏』
    鈴木愛渚さん(筑波大学附属中学校1年)
    〈審査員特別賞〉
    「『クリスマス・キャロル』を読んで」/『クリスマス・キャロル』
    長谷川莉乃さん(徳島文理中学校2年)

【高校生部門】

  • 〈最優秀賞〉
    「怪物は幸福になれるか」/『フランケンシュタイン』
    三原黎香さん(学習院女子高等学科1年)
    〈優秀賞〉
    「終わりある『自由』の中で」/『人間の大地』
    中島 葵さん(東京学芸大学附属国際中等教育学校4年)
    〈審査員特別賞〉
    「堤中納言物語を読んで」/『虫めづる姫君 堤中納言物語』
    井芹早希さん(東京学芸大学附属国際中等教育学校4年)
    〈審査員奨励賞〉
    「翻訳とは何か?」/『故郷/阿Q正伝』
    中澤賢人さん(東京学芸大学附属国際中等教育学校4年)

【大学生・一般部門】

  • 〈最優秀賞〉
    「老人が読む『老人と海』」/『老人と海』
    高原貞夫さん
    〈優秀賞〉
    「建て前は「寛容」に繋がるか?」/『寛容論』
    長澤敦子さん
    〈審査員特別賞〉
    「光を見たいマルテたち」/『マルテの手記』
    馬場広大さん
    〈審査員奨励賞〉
    「バートルビーという鏡」/『書記バートルビー/漂流船』
    春名 孝さん

【学校協力賞】

  • 市川中学校/大妻中野中学校/香川県大手前高松中学校/香川大学教育学部附属高松中学校/学習院中等科/埼玉大学教育学部附属中学校/捜真女学校中学部/筑波大学附属中学校/東京学芸大学附属国際中等教育学校/横浜隼人高等学校
  • 《審査員》
  • 日本教育大学院大学客員教授 北川達夫
    東京大学教授 沼野充義
    一般財団法人 出版文化産業振興財団理事長 肥田美代子
    一般財団法人 光文文化財団常務理事 古谷俊勝
    株式会社 光文社出版局編集委員 駒井稔

早いもので光文社古典新訳文庫は、今年9月で創刊10周年を迎えました。古典だけを新訳で刊行するといういささか大胆な試みが、ここまで成長したことは望外の喜びです。この読書エッセイコンクールも、今年で第9回。毎回たくさんの読者の方々に支えられて今日に至りました。読書エッセイと一言で言っても、実際に自分らしい形にまとめるのは容易なことではありません。にもかかわらず毎回1000通を超える優れたエッセイを寄せていただいことはお礼の言葉もありません。あらゆる年代の方々の手による個性あふれる文章を読むことは、審査員を務める先生方はもちろん、われわれ編集部にとってもこの上ない喜びでありました。

最近はエッセイとして読みごたえのある作品が増えました。完成度の高い作品が多くなり、最終審査会でも、その理解の深さ、独創的な見解に、感嘆の声がたびたび上がりました。なかでも小・中学生部門では『あしながおじさん』を取り上げた高山寛乃さんの「手紙」、高校生部門の『フランケンシュタイン』を題材に「怪物は幸福になれるか」を書いた三原黎香さんのエッセイが、審査員の称賛の的になりました。

昨今、本離れが進んでいると言われることが多いのは確かですが、今回のコンクールの審査を通じて、それは杞憂ではないのかとあらためて思いました。最後になりましたが、この読書エッセイコンクールにご応募いただいたすべての方々に心より感謝いたします。ありがとうございました。

株式会社 光文社出版局編集委員 駒井 稔