2022.04.06

【Zoom配信】紀伊國屋書店Kinoppy&光文社古典新訳文庫読書会#78 独裁者、メディア統制、監視……ディストピア味を増すロシアと、ザミャーチン『われら』の数奇な運命 
訳者・松下隆志さんを迎えて

松下隆志さん

約100年前の1921年にロシアの作家ザミャーチンが完成させた長篇小説『われら』。形骸化した選挙で選ばれる独裁者、監視社会、言論の封殺。1000年後の未来を舞台としているとはいえ、『われら』がロシア革命後の政治状況を痛烈に揶揄していたことは明らかでした。そのため、1922年に建国されたソ連では反体制的であるとして刊行できず、なんとペレストロイカ後の1988年まで発禁にされてきました。まさにソ連時代と運命をともにした20世紀的な作品なのです。

そんな『われら』がいま再び注目を浴びています。

今年2月にウクライナに侵攻したロシア。世界ではウクライナの悲惨な状況が連日報道される一方、ロシア国内では、政府の見解と異なる報道は禁じられ、プロパガンダや官製フェイクニュースばかりが流される事態となっています。インターネットへの接続も規制され、政府の市民への監視の目も厳しくなっています。

この状況においてはディストピア小説、とりわけロシア生まれの『われら』の世界と、現代社会とを引き比べずにはいられないでしょう。また、戦争を実行するうえで、「われら」「彼ら」という区別が欠かせないことは、言うまでもありません。

今回の読書会では、『われら』の新訳を手掛けられた松下隆志さんをお迎えし、100年来のソ連・ロシアの政治を踏まえつつ、その小説の魅力を語って頂きます。

(聞き手:光文社古典新訳文庫・創刊編集長 駒井稔)

 

紀伊國屋書店Kinoppy&光文社古典新訳文庫読書会 #78
独裁者、メディア統制、監視……ディストピア味を増すロシアと、ザミャーチン『われら』の数奇な運命 
訳者・松下隆志さんを迎えて
『われら』ザミャーチン/松下隆志訳《日時》2022年4月27日(水)18:30~20:00
《会場》Zoom(オンライン)
《参加費》無料
《参加方法》2022年4月6日(水)10:30~4月27日(水)17:30の間、紀伊國屋書店ウェブストアにて、参加お申し込みを承ります。応募人数が予定を超えた時点で締切とさせていただきますのでご了承くださいませ。 ※ご案内メールを当日までにメールでご連絡します。メール配信日:4月25日・27日の2回
お申し込みについて、詳しくは 紀伊國屋書店ウェブサイトをご覧ください
[松下隆志(まつした・たかし)さんプロフィール]
ロシア文学者。岩手大学准教授。1984年、大阪生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。 著書に『ナショナルな欲望のゆくえ: ソ連後のロシア文学を読み解く』(2021年度日本ロシア文学会賞受賞)、 訳書にザミャーチン『われら』(光文社古典新訳文庫、2019)、 ウラジーミル・ソローキン『テルリア』(2017)、 『親衛隊士の日』(2013)、 『青い脂』(共訳、2012) など。
松下隆志さんのプロフィール詳細(光文社古典新訳文庫での訳書一覧)