強烈なロンドン訛りを持つ花売り娘イライザに、たった6カ月で貴族のお嬢様のような話し方を身につけさせることは可能なのだろうか? 言語学者のヒギンズと盟友ピカリング大佐の試みは成功を収めるものの……。
英国随一の劇作家バーナード・ショーの傑作『ピグマリオン』はユーモアと辛辣な皮肉がきいた傑作喜劇で、映画『マイ・フェア・レディ』や『プリティ・ウーマン』の原案としても知られています。しかし、これらの映画と『ピグマリオン』とでは、結末が決定的に違っています。かたや、自分を教育してくれた男性と恋仲となるロマンティックなハッピーエンドであるのに対し、『ピグマリオン』では主人公イライザは男性と決別し、自分の人生を選び取るのです。どちらのストーリーも魅力的ですが、今日においては、『ピグマリオン』の結末はより現代的で、ポジティブな意味合いを放っているように思えます。
『ピグマリオン』は日本でも2013年に石原さとみ主演で上演されたほか、今回2026年には沢尻エリカさん主演で上演されます。ぜひこの機会に、作品を新訳で味わい、著者自身の序文やト書きに触れ、また訳者による充実した注や解説も楽しんでください!
今回の読書会では、訳者の小田島恒志さんをお迎えし、本書の成立過程や読みどころなどたっぷりと語っていただきます。
(聞き手:光文社古典新訳文庫・創刊編集長 駒井稔)