
| 作品 | 
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| アメリカ公使館員として訪れたアルハンブラ宮殿の美しさに魅了された作家アーヴィングが、かつての住人、ムーアの王族の栄光と悲嘆の歴史に彩られた宮殿に纏わる伝承と、スケッチ風の紀行をもとに紡いだ歴史ロマン。異国情緒あふれる物語世界は、発表以来、ヨーロッパに一大ブームを巻き起こした。 | 
| 内容 | 
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| スケッチ風の紀行と伝承に基づく民話風の物語を融合。 本作は、史実に立脚した歴史書の科学性ではなく、鳥瞰と虫瞰の妙を駆使して、文学はどこまで歴史叙述足り得るのかという表現の巧みさを信条としたアーヴィングの、一種独特の世界が鮮やかに描写されている。(訳者) | 
| 目次 | 
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| アルハンブラ物語 | 
| 第一章 旅路 | 
| 第二章 アルハンブラ宮殿 | 
| 第三章 大いなる交渉――アーヴィング、君主ボアブディルの王位を継承する | 
| 第四章 アルハンブラ宮殿の住人 | 
| 第五章 大使の間 | 
| 第六章 イエズス会図書館 | 
| 第七章 アルハンブラ宮殿の築城者であるアルハマールについて | 
| 第八章 アルハンブラ宮殿の完成者、ユースフ・アブール・ハジーグについて | 
| 第九章 不思議な部屋 | 
| 第十章 コマレスの塔からの眺め | 
| 第十一章 不実な怠けバト | 
| 第十二章 バルコニーにて | 
| 第十三章 レンガ職人の冒険について | 
| 第十四章 ライオンの中庭 | 
| 第十五章 アベンセラーへ家 | 
| 第十六章 ボアブディルに思いを馳せて | 
| 第十七章 グラナダの祝祭 | 
| 第十八章 民間伝説について | 
| 第十九章 風見の館 | 
| 第二十章 アラブの占星術師の伝説 | 
| 第二十一章 アルハンブラ宮殿の訪問者たち | 
| 第二十二章 遺された歴史文化と一族の系譜 | 
| 第二十三章 ヘネラリーフェ離宮 | 
| 第二十四章 アフメッド・アル・カーミル王子の伝説――恋の巡礼者 | 
| 第二十五章 アルハンブラ宮殿の丘を散策して | 
| 第二十六章 ムーア人の遺産を巡る伝説 | 
| 第二十七章 王女たちの塔 | 
| 第二十八章 三人の美しい王女たちの伝説 | 
| 第二十九章 アルハンブラのバラの伝説 | 
| 第三十章 武勇の誉れ高い老兵 | 
| 第三十一章 片腕の老総督と公証人 | 
| 第三十二章 片腕の老総督と兵士 | 
| 第三十三章 アルハンブラ宮殿の饗宴の儀 | 
| 第三十四章 ニンフ像に纏わる伝説 | 
| 第三十五章 アルカンタラ騎士団長と十字軍 | 
| 第三十六章 歴史ロマン漂うスペイン | 
| 第三十七章 高潔な騎士ドン・ムニョ・サンチョ・デ・イノホサの伝説 | 
| 第三十八章 アンダルスの詩人たちとその詩歌 | 
| 第三十九章 マヌエルの旅立ち | 
| 第四十章 魔法にかけられた兵士の伝説 | 
| 第四十一章 静かな別れ | 
| 解説 齊藤 昇 | 
| 年譜 | 
| 訳者あとがき | 
| ワシントン・アーヴィング Washington Irving | 
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| [
                    1783                    -
                    1859                    ] アメリカのロマン派を代表する作家。文壇デビュー作の『ニューヨーク史』(1809)においてユーモアや軽妙な諷刺で才気を発揮した後、1815年にイギリスに渡ってからは牧歌的でスケッチ風の物語や神話伝説の独自の世界を描いた短編集『スケッチ・ブック』(1819-20)で一世を風靡した。また、スペイン滞在中に着想を得、旺盛な創作意欲とイスラム文化への傾倒を遺憾なく示した本作『アルハンブラ物語』(1832)に代表される歴史文化の分野でも意欲的に文学活動を展開した。晩年は念願としていた畢生の作品『ジョージ・ワシントン伝』(1855-59)の著述に没頭してこれを完成した。 | 
| [訳者] 齊藤 昇 Saito Noboru | 
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| 立正大学文学部教授。著書に『ワシントン・アーヴィングとその時代』、『「最後の一葉」はこうして生まれた──O・ヘンリーの知られざる生涯』、『そしてワシントン・アーヴィングは伝説になった〈アメリカ・ロマン派〉の栄光』など。訳書に『わが旧牧師館への小径』(ホーソーン)、『ウォルター・スコット邸訪問記』『ブレイスブリッジ邸』『スケッチ・ブック』『リップとイカボッドの物語』『昔なつかしいクリスマス』(以上、W・アーヴィング)などがある。 |