2023.04.25

『好色一代男』を面白く読むために! 廓の応用問題を(少し)公開!

2023年4月刊は井原西鶴『好色一代男』。主人公の世之介は、7歳で腰元をくどき、12歳で風呂屋女(湯女)と寝るような早熟ぶりを発揮、放蕩のすえ勘当されます。とはいえ、止められないのが色の道。地方を遍歴し、莫大な遺産を手にした後は、名高い遊女たち、男衆との好色生活をつづけます。世之介は東へ西へ、本作の主な舞台となる廓を訪れます。その廓について訳者の中嶋隆さんに「付録『好色一代男』を面白く読むために!」を書いてもらいました。その中から一部をウェブに公開します!続きはぜひ本でご覧ください!

中嶋隆さん編『21世紀日本文学ガイドブック 井原西鶴』(ひつじ書房、2012年)の「西鶴研究案内(浮世草子)」もあわせてご参照ください。

廓の応用問題 中嶋 隆

『好色一代男』井原西鶴 /中嶋隆 訳 西鶴の魅力を、多くの人に、特に若い皆さんに伝えたいために今回の新訳『好色一代男』を書きました。女性を含めた若い方々が「廓」に興味をもたれることはうれしいことです。ただ、「廓」はプロスティテュート(売買春)の場であり、そこに人間のおろかさや悲しみが溢あふ れます。だから、小説や演劇の舞台になるのです。そこを忘れないでください。さらに言うなら、漫画や映画の影響もあるでしょうが、誤解した知識で、「業界用語」が多くて西鶴の小説はつまらない、などという感想を持つ人もいます。多少は反感をもたれるのは覚悟してのことですが、私は時代小説作家として、主に若い人を対象にして、応用問題を作ってみました。

※本では全部で応用問題が8題掲載されています。その中から5題をウェブに公開します!
※〈問題1〉は解答あり。問題文をクリックすると解答が表示されます。

〈解答〉 ○「花魁道中」これはペケ。花魁は吉原で用いられた言葉で、「天和年間」には未成立です。

○「三枚歯の木履」これもペケ。このころは素足に草履(ぞうり)で道中しています。

○「外八文字」ペケ。「内八文字」です。

二人の禿を連れて歩く花魁。鈴木春信の浮世絵です。1770年。
[From : The New York Public Library]

世之介の足跡地図

好色一代男

好色一代男
井原西鶴    
中嶋 隆 訳