光源氏に並ぶ
日本文学史上最大のプレイボーイ
世之介登場

好色一代男

好色一代男

井原西鶴    
中嶋 隆  訳   
7歳で色事に目覚め、
相手にした女は3742人に男725人
作品
「好色」にこめられたもう一つの意味は、在原業平のような(みやび)な「色好み」である。主人公世之介は光源氏のパロディであり、この小説は『源氏物語』五十四帖を踏まえた五十四章から成る。また俳諧をたしなむぐらいの教養の持ち主なら知っている古典の文章が随所でもじられている。西鶴は、春本の意味で「好色」と付けたのではない。(訳者)
物語
世之介は、七歳で腰元をくどき、十二歳で風呂屋女 (湯女) と寝るような早熟ぶり。放蕩のすえ勘当され、地方を遍歴する。その後遺産を相続して大金持ちとなり、名高い遊女たちとの好色生活を続けた。元禄期、作者・読者・流通の常識を覆した日本初のベストセラー小説を画期的新訳で!
目次
  
  • 巻一
  • 巻二
  • 巻三
  • 巻四
  • 巻五
  • 巻六
  • 巻七
  • 巻八

一 暗闇から始まる恋

二 恥ずかしながら渡した恋文

三 人には見せられないところ

四 袖に時雨(しぐれ)がかかったのは幸運

五 事情を聞くほど深まる契り

六 煩悩の垢かき女

七 別れる時には現金払い

一 あばら屋の寝道具

二 夫に死に別れても捨てられぬ浮世

三 女は想定外

四 起請文(きしょうもん)の漆判

五 旅の途中の浮気心

六 出家しなければならないはめに

七 裏長屋の侘び住まい

一 妾に支払う支度金

二 博多湊(はかたみなと)の魚売り

三 ねだり取った着物

四 一晩だけの閨(ねや)狂い

五 揚代五匁のほかに祝儀はたっぷり

六 木綿の綿入れを借りて商売

七 ご託宣は痴話喧嘩

一 因果応報の番人

二 形見に残った水櫛(みずぐし)

三 夢中で振るう太刀

四 変わっているのは男妾

五 昼間から浮気の仕掛け罠

六 目に三月

七 火神鳴(かみなり)の夜に行方しらず

一 後には奥様と呼ぶ

二 かき餅を焼くのが望み

三 欲の世間にこれは無欲な

四 焦がれ死の鬼火

五 一日貸してもこの程度

六 今風の男を見たことのない女郎

七 今だと、尻を出す女

一 袖のなかに食べかけ蜜柑(みかん)

二 身は火に焼かれても

三 心中箱

四 寝覚めのご馳走

五 見事な正月の太夫道中

六 匂いはご褒美

七 人気一番、古筆切(こひつぎれ)の紙子(かみこ)羽織

一 その面影は初雪の日の初昔(はつむかし)

二 太鼓持ちの気ままな遊び

三 人の知らないへそくり銀(がね)

四 盃を運んだ道のりは百二十里

五 廓の日記帳

六 籠で下ろした口付け盃

七 新町の夕暮島原の曙

一 楽寝の牛車(ぎっしゃ)

二 情の賭け勝負

三 一杯足らないので島原へ

四 都の美人人形

五 床で用いる性具

 解説 中嶋 隆
 付録
 年譜
 訳者あとがき
              
井原西鶴    Ihara Saikaku
[ 1642〈寛永19〉 - 1693〈元禄6〉 ]   

江戸時代前期を代表する俳諧師、浮世草子作者。大坂の商家に生まれる。39歳で、一日に4000句を一人で詠む「矢数俳諧」に成功して名声を得た。41歳時に浮世草子『好色一代男』を出版。当時の出版界に衝撃を与え、以降人気作家となる。『好色五人女』『好色一代女』『男色大鑑』『日本永代蔵』『武家義理物語』『世間胸算用』など、次々に問題作を刊行し、近代以降の作家にも多大な影響を及ぼす。52歳歿。

[訳者] 中嶋 隆    Nakajima Takashi

1952年、長野県生まれ。早稲田大学名誉教授。作家。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。博士(文学)。専門は西鶴などの江戸時代文芸・文化研究。著書に『西鶴と元禄メディア』『初期浮世草子の展開』『西鶴と元禄文芸』『西鶴 「誹諧独吟一日千句」研究と註解』等多数。小説『廓の与右衛門 控え帳』で第8回小学館文庫小説賞受賞。時代小説は他に『はぐれ雀』『補陀落ばしり物語』など。

書評
2023.05.30 日本経済新聞    町田康訳「古事記」・中嶋隆訳の西鶴 現代人に響く翻訳