いよいよ夏休み直前。ジュール・ヴェルヌ『十五少年漂流記 二年間の休暇』は夏のゆったりした読書や読書感想文の題材にもぴったりな一冊です。
南太平洋の無人島に漂着した15人の少年たちのサバイバルは、狩りや獲物の調理、住居の整備、燃料用の薪や灯火用の油脂の確保など苛酷ではあるものの、「子どもだけの世界を作り上げていく昂揚感──秘密基地づくりにも通じるような昂揚感(訳者)」に満ち、ひとことで言えばワクワクが止まりません!
大人のいない世界で彼らははいかに役割分担し社会を築いていくのでしょうか。本書はリーダーシップ、対立と和解、多国籍なコミュニティといったテーマに注目して読み進めることもできます。
昨年刊行された光文社古典新訳文庫版では、ヴェルヌの冒険物語には欠かせないL・ブネットの挿絵も全点収録され、物語を彩っています。今回の読書会では、新訳を担当された鈴木雅生さんを迎え、本書の成立過程や読みどころなど存分に語っていただきます。
(聞き手:光文社古典新訳文庫・創刊編集長 駒井稔)