作者のオスカー・ワイルドは、童話「幸福な王子」や長編小説『ドリアン・グレイの肖像』、フランス語で書いた世紀末耽美主義の傑作戯曲『サロメ』など、さまざまなジャンルで名作を残しましたが、キャリアの最終段階で成功の絶頂期にあったのが喜劇作家としての活躍でした。今回取り上げるのは、その彼の傑作喜劇2作品です。
二人の仲の良い紳士がお互いに牽制し合いながら、それぞれの恋を進展させようとするが、あるところから辻褄が合わずに……(「まじめが肝心」)。夫の不倫を疑う妻に対し、夫が妻の誕生日祝いの舞踏会にその相手と疑われている女性を招待しようとして……(「レイディ・ウィンダミアの扇」)。2作品とも話のこじれ具合とオチが素晴らしい傑作ですが、とくに「まじめが肝心」は、洒落ていてノンセンス、気取っていてユーモアに富んでいて、これぞイギリス喜劇といえる、いまも大人気の作品です。新訳では本邦初のノーカット「完全版四幕もの」として訳出し、さらにワイルド自身の加筆修正が見えるレイアウトと訳注で、テキレジも味わえるようになっています。
今回は、翻訳だけでなく演出もされるなど演劇シーンで活躍される河合祥一郎さんをお迎えして、ワイルド喜劇の魅力、その笑いの魅力について存分に語っていただきます。
(聞き手:光文社古典新訳文庫・創刊編集長 駒井稔)