人間は相反する要素を併せ持つ不可解な存在。モームは、ときに本人にさえ説明のつかないこの複雑怪奇な内面を、鋭い観察眼と堅牢な物語構造で明快に描く。洒落た会話とユーモアだけでない魅力がここに!
家柄と知性、すべてに恵まれた外務大臣は、自分が見た恥ずべき夢を格下のライバルに知られていると悩んだ末に......「マウントドレイゴ卿」。
南方駐在員の夫を亡くして帰国した長女が明かした夫の秘密とは......「パーティの前に」。人間の不可解さを浮き彫りにする珠玉の6編。
ウィリアム・サマセット・モーム Willam Somerset Maugham |
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[ 1874 - 1965 ] イギリスの劇作家、小説家。イギリス人の両親のもと、フランスで生まれ、イギリスへ転居。当初医者を目指したが、その後劇作家として成功し、心理小説、スパイ小説などを執筆した。第一次世界大戦中は情報部に勤務し、諜報活動に従事した。45歳のときに、画家のポール・ゴーギャンをモデルにした『月と六ペンス』が刊行される。ほかの作品に『魔術師』『人間の絆』『かみそりの刃』など。 |
[訳者] 木村政則 Kimura Masanori |
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1968年生まれ。英米文学翻訳家。専門は 20世紀イギリス小説。著書に『20世紀末イギリス小説 アポカリプスに向かって。訳書に『チャタレー夫人の恋人』(D・H・ ロレンス)、『マウントドレイゴ卿/パーティの前に』(モーム)、『あなたの自伝、お書きします』『ブロディ先生の青春』『寝ても覚めても夢』『バン、バン! はい死んだ」 (以上、ミュリエル・スパーク)などがある。 |