人生は、どうしてこんなに、うまくいかないのか。

日陰者ジュード

日陰者ジュード

トマス・ハーディ    
木村政則  訳   
将来の夢は打ち砕かれ、理想の愛は阻まれる……
「救いなきリアル」が現代人にも刺さる名作。
物語
学問の道を志す貧しいジュードは、生活のために石工の見習いとなるが、進学の見込みもないうちに、奔放なアラベラと結婚してしまう。その関係はすぐに破綻するが、今度は知的で進歩的な考えを持つ従妹スーに惹かれ、同棲を始め……。近代人の悲劇的運命を描いたハーディの代表作。
内容
あらためて考えてみれば、ジュードの人生が提示した格差の問題であれ、スーが提起した女性の自由、結婚、出産等の問題であれ、すべてが現代と密接に結びついている。言い換えれば、どれひとつとしてきれいに解決されたものはない。それどころか、いっそう複雑化しているものさえある。(訳者)
目次
 解説 木村政則
 年譜
 訳者あとがき
 『日陰者ジュード』おもな登場人物しおり
トマス・ハーディ    Thomas Hardy
[ 1840 - 1928 ]   

イギリスの小説家・詩人。イングランド南部の村ハイアーボックハンプトンで4人きょうだいの長子として生まれる。父は石工。教育熱心な母は子供に多くの本を与え、州都ドーチェスターの優れた教師のいる学校に通わせた。経済的に大学進学がかなわず、建築家の徒弟となるが、徐々に文学に傾倒。初期の長篇『狂乱の群れを離れて』 などで人気作家となり、『カスターブリッジの町長』、当時は反道徳的と批判を受けた『ダーバヴィル家のテス』や『日陰者ジュード』などの代表作を残した。また数多くの詩集、自伝も著し、文壇に確固たる地位を築いた。

[訳者] 木村政則    Kimura Masanori

1968年生まれ。英米文学翻訳家。専門は20世紀イギリス小説。著書に『20世紀末イギリス小説──アポカリプスに向かって』。訳書に『キム』 (キプリング)、『チャタレー夫人の恋人』(D・H・ロレンス)、『マウントドレイゴ卿/パーティの前に』(モーム)、『いかさま師ノリス』 (クリストファー・イシャウッド)、『あなたの自伝、お書きします』『ブロディ先生の青春』『寝ても覚めても夢』『バン、バン! はい死んだ』 (以上、ミュリエル・スパーク)などがある。