意志の弱さ、愛と友人、そして快楽について

ニコマコス倫理学(下)

ニコマコス倫理学(下)

アリストテレス    
渡辺邦夫  訳    立花幸司  訳   

もっとも古くて、もっとも現代的な究極の「幸福論」!

作品

なぜ欲望に負けてしまうのか。役に立つ、楽しい人だからと愛するのは、愛なのか。快楽を追求するのは悪いことなのか。人生におけるこれらの難問について、アリストテレスが根源的に考え抜いた究極の「幸福論」。


内容

下巻では、行為と思慮深さの関係、意志の弱さにかんする哲学的難問、人生における愛と友人の意義、そして快楽の幸福への貢献について考察する。人間の感情と知性のはたらきを深く考え、完全な幸福とは何かを追究した、倫理学史上もっとも重要で、現代的な意味をもつ古典。


       
目次
凡例
訳者まえがき
第六巻 知的なアレテー
第一章 学問的に知る部分と推理して知る部分
第二章 理論的思考と実践的思考
第三章 学問的知識について
第四章 技術について──技術と制作
第五章 思慮深さについて──思慮深さと行為
第六章 知性について
第七章 知恵について──思慮深さとの関係から
第八章 思慮深さの分類と、知的なアレテーとしての思慮深さの特徴
第九章 考え深さについて
第十章 物わかりのよさについて
第十一章 察しのよさと思いやりからみた思慮深さの特徴
第十二章 知恵と思慮深さをめぐるいくつかの難問──思慮深さと知恵が必要な理由
第十三章 知恵と思慮深さをめぐるいくつかの難問(続き)──思慮深さと人柄のアレテーの関係の再検討
第七巻 欲望の問題――抑制のなさと快楽をめぐって
第一章 「抑制のなさ」にかんして語られる通念
第二章 「抑制のなさ」にかんする哲学的難問
第三章 「抑制のなさ」の解明――解明のための四つの段階
第四章 限定ぬきの「抑制のなさ」と、限定つきの「抑制のなさ」 
第五章 獣的な性向と病的な性向
第六章 激情の醜さと欲望の醜さ
第七章 さまざまな抑制のなさ
第八章 さまざまな抑制のなさ(続き)
第九章 抑制のある人に似てみえてしまう人々
第十章 抑制のない人の癒しやすさ
第十一章 快楽主義に反対する代表的論拠
第十二章 既存の論拠からは反快楽主義を導くことができないこと
第十三章 高尚な快楽は最高善とみなしうること
第十四章 身体的快楽と、その超過が含む倫理的問題について
第八巻 フィリアについて
第一章 フィリアの必要性と価値にかんするまえがき
第二章 フィリアの三種類の根拠と、フィリアの成立条件
第三章 三種類のフィリアがあり、善に基づくフィリアが中心であること
第四章 「快楽に基づくフィリア」と「有用性に基づくフィリア」はフィリアなのか?
第五章 善に基づく友人は「ともに生きる」間柄である
第六章 快楽の友と有用さの友は、アレテーの友と似ている点で「友」である
第七章 優越性に基づくフィリア
第八章 フィリアは愛することのうちにあること
第九章 フィリアと正義は、人々の共同性に応じて変わってゆくこと
第十章 国家体制の分類、および家庭内の共同性の類比的説明
第十一章 国家体制の種類に基づく、フィリアの諸形態にかんする説明
第十二章 家族のフィリアの分析
第十三章 フィリアにつきまとう不平は、なぜ生まれてくるのか?
第十四章 優越性に基づくフィリアを維持するための助言
第九巻 フィリアについて(続き) 
第一章 フィリアの不平と友好的取引にまつわる不平について
第二章 恩恵に対して、どのようにお返しすべきか?
第三章 フィリアの解消は、いかなる条件のもとで起こるか?
第四章 フィリアの関係と、高潔な人の自分自身との関係
第五章 フィリアの始まりとしての好意
第六章 政治的なフィリアとしての協和
第七章 なぜ親切にした人は親切にした相手を、強くいつまでも愛するのか?
第八章 二つの自己愛──真の自己愛は自分の知性へのフィリアであること
第九章 幸福な人は、友人を必要とするか?
第十章 人はどのくらい多くの友人をもつのがよいか?
第十一章 幸運に際して友人が必要か、不運に際して友人が必要か?
第十二章 ともに生きることは、意味のある活動をともにすることである
第十巻 幸福論の結論
第一章 快楽論序説
第二章 エウドクソスの快楽主義
第三章 快楽にかんする従来のさまざまな主張の総括
第四章 アリストテレス自身の快楽論(一)──快楽により活動は完成する
第五章 アリストテレス自身の快楽論(二)──活動の種類と人柄の優劣
第六章 幸福論再論(一)──幸福はまじめな活動のうちにあること
第七章 幸福論再論(二)──観想の生活が完全に幸福な生活であること
第八章 幸福論再論(三)──実践的生活は二次的な幸福を与えること
第九章 結び──人間にかんする哲学は倫理学から政治学へ向かうこと
 解 説 渡辺邦夫
 訳者あとがき
アリストテレス年譜
アリストテレス    ΑΡΙΣΤΟΤΕΛΗΣ
[ 384 B.C. - 322 B.C. ]    古代ギリシャを代表する哲学者。ギリシャ北部のスタゲイラに生まれ、17歳ころアテナイのプラトンの学園アカデメイアに入学、20年間研究生活を送る。プラトンの死後、小アジアなどでの遍歴時代を経て、50歳近くでアレクサンドロス王の庇護のもとでアテナイに学園リュケイオンを創設し、学頭として研究と教育に没頭した。かれの著作は講義ノートが大部分であり、内容別に整理され、学問方法論、理論学の『形而上学』『魂について』、実践学の『二コマコス倫理学』『政治学』、制作学の『詩学』などがある。
[訳者] 渡辺邦夫    Watanabe Kunio
1954年生まれ。茨城大学人文学部教授。博士(学術)。東京大学大学院比較文学比較文化専門課程博士課程単位取得退学。古代ギリシャ哲学専攻。著書に『アリストテレス哲学における人間理解の研究』、訳書に『メノン』(プラトン)『ニコマコス倫理学』(アリストテレス)がある。
[訳者] 立花幸司    Tachibana Koji
1979年生まれ。熊本大学文学部准教授、ジョージタウン大学メディカルセンター国際連携研究員。東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻博士課程修了、博士(学術)。哲学・倫理学専攻。訳書に『ケンブリッジ・コンパニオン 徳倫理学』『ニコマコス倫理学』(アリストテレス)など。