凡庸な夫、退屈な結婚生活、そして魅力的な青年  不倫に溺れるエマは……

ボヴァリー夫人

ボヴァリー夫人

フローベール    
太田浩一  訳   
近代フランス文学を代表する傑作、待望の新訳!
物語
田舎町の冴えない医者シャルルとの平凡で退屈な結婚生活にエマは倦んでいた。理想と現実とのギャップ。満たされない心……。彼女はやがて夫の目を盗んで情事を重ね、散財を繰り返し、膨大な借金を抱えてしまう。近代フランス文学の傑作であり、フローベールの代表作。
作品
地方都市に暮らすブルジョワの生活にありがちな、スキャンダラスな姦通事件を芸術に昇華させた『ボヴァリー夫人』は、近代フランス文学を代表する傑作だ。細やかな心理描写と絵画的ともいえる情景描写が素晴らしい本作を、原文にこめられた原作者の精神に忠実な翻訳、原作者の深意、意向、意図を可能なかぎり反映した翻訳で贈る。
目次
ボヴァリー夫人 地方風俗
第一部
第二部
第三部
目次
 註釈
 読書ガイド 太田浩一
 年譜
 訳者あとがき
 『ボヴァリー夫人』おもな登場人物しおり
ギュスターヴ・フローベール    Gustave Flaubert
[ 1821 - 1880 ]    フランスの小説家。ルーアンで外科医の息子として生まれる。大学でははじめ法律を学ぶが性に合わず、創作活動に向かう。1857年、4年半をかけて書き上げたデビュー作『ボヴァリー夫人』が、裁判沙汰をひき起こしたという宣伝効果もあって大ベストセラーになり、作家としての地位を確立した。1869年に自伝的な作品『感情教育』を発表したが、売れ行きはともかく、世評は芳しくなかった。晩年は長編『ブヴァールとペキュシェ』に精力をつぎ込んだが、完成を見ずに1880年、自宅で死去。身近な題材を精緻かつ客観的に描写するフローベールの手法は、その後のゾラ、モーパッサンらに影響を与えた。他の作品に『サランボー』『三つの物語』などがある。
[訳者] 太田浩一    Koichi Ota
フランス文学翻訳家。訳書に『感情教育』『三つの物語』(ともにフローベール)、『脂肪の塊/ロンドリ姉妹』『宝石/遺産』『オルラ/オリーヴ園』『ロックの娘』(以上モーパッサン)、『ルルージュ事件』(ガボリオ)、『ミステリ文学』(ヴァノンシニ)などがある。