為朝、最大のピンチ!

椿説弓張月4

椿説弓張月4

曲亭馬琴    
菱岡憲司  訳   
曚雲国師×利勇×為朝
知略と計略がぶつかり合う三つ巴の戦い。
葛飾北斎の挿画を全点収録。全5巻
物語
王位継承をめぐる争いで廉夫人れんぶにん、忠臣毛国鼎もうこくていらは命を落とした。寧王女ねいわんにょの絶体絶命の危機を救った為朝は、曚雲国師もううんこくしを討つべく南風原はえばるへ赴き利勇りゆうと対面。難題を突きつけられるが、美女の海棠かいどうを介していったん、“手を結ぶ のだった。知略と計略がぶつかり合う三つ巴の戦いを描く。
内容
馬琴の悪人造型には定評があるが、それは悪人の行為のみならず、その憎々しい心情をも描き得ていることが大きい。善悪どちらの立場の人物も、外面からはうかがえない単純ならざる内面を抱いており、そして馬琴は、それを描く。 (訳者)
刊行予定
前編、後編、続編、拾遺、残編を各巻で刊行。全巻解説付き。
第5巻 (残編) 12月刊

目次
凡例
見返し
口絵
鎮西八郎為朝外伝樁説弓張月拾遺上帙目録
題詞
巻之一
巻之二
巻之三
巻之四
巻之五
 解説 菱岡憲司
 『椿説弓張月4』おもな登場人物しおり
曲亭馬琴    Kyokutei Bakin
[ 1767 - 1848 ]    江戸時代の読本作家。深川生まれ。幼少の頃から俳諧、浄瑠璃本、軍記などに親しむ。14歳で主君の松平家を出たのちも仕え先を転々と変えるなど、浮浪の日々を送るが、24歳のとき山東京伝に入門を乞う。25歳で黄表紙の初作『尽用而二分狂言つかいはたしてにぶきょうげん』を刊行。27歳で結婚。41歳の折、刊行した『椿説弓張月』が大評判となり読本作家としての地位を不動のものとした。48歳から長編読本『南総里見八犬伝』の刊行を始め、長男の死や両目失明を乗り越え、長男の嫁の助けを得て76歳のときに完結させた。82歳で亡くなるまで書き続けた著作は、『月氷奇縁げっぴょうきえん 』『三七全伝南柯夢さんしちぜんでんなんかのゆめ』『 開巻驚奇俠客伝かいかんきょうききょうかくでん』『近世説美少年録きんせせつびしょうねんろく』『傾城水滸伝けいせいすいこでん』『俳諧歳時記はいかいさいじき』ほか多数。
[訳者] 菱岡憲司    Hishioka Kenji

1976年、福岡県生まれ。日本近世文学研究者。九州大学大学院博士後期課程単位修得退学。博士(文学)。有明工業高等専門学校准教授などを経て、現在、山口県立大学国際文化学部教授。著書に『大才子 小津久足 伊勢商人の蔵書・国学・紀行文』 (第45回サントリー学芸賞受賞)、『その悩み、古典が解決します。』、『小津久足の文事』、『石水博物館所蔵 小津桂窓書簡集』 (編著) など。