暗愚(あんぐ)な王、胡乱(うろん)な託女(みこ)、古塚から現れた曚雲国師(もううんこくし)、跋扈(ばっこ)する禍獣(わざわい)……。

椿説弓張月3

椿説弓張月3

曲亭馬琴    
菱岡憲司  訳   
熾烈な王位継承争いが勃発!
為朝漂着前の琉球がすでにヤバすぎる!!
葛飾北斎の挿画を全点収録。全5巻
物語
平清盛を討つべく九州から上洛中の海上で、為朝一行は遭難してしまう。そして舞台は琉球王国に。王妃と結託し悪政を敷く高官利勇(りゆう)、国を乗っ取ろうとする曚雲国師(もううんこくし)、胡乱(うろん)な託女(みこ)阿公(くまぎみ)と曚雲が操る妖獣の禍獣(わざわい)。悪役たちが奸智術数をめぐらせる熾烈な王位継承争いを描く「琉球編」。
内容
異説のおもしろさを知ったであろう馬琴は、通説を勝手に作り変えたり、歴史の裏側を自己流にでっちあげるのではなく、歴史的事実と異説のあいだを想像でつなぐ。そのつなぎ目にこそ腕がふるわれる。しかもそれは異説とはいえ、なにがしかの根拠のある「歴史的事実」のひとつであるから、「勧懲が正しい」おこないでもある。 (訳者)
目次
凡例
見返し
序
題詞
琉球全図
口絵
鎮西八郎為朝外伝樁説弓張月続編総目録
  • 第三十一回 為朝は船路にて京に赴く
  • 白縫は瀾(なみ)を披(ひら)いて海に沈む
  • 第三十二回 忠義の魂は鰐(わに)に憑依(ひようい)して幼主を救う
  • 神仙は気を吹いて夭折(ようせつ)を甦(よみがえ)らす
  • 第三十三回 毛国鼎の忠義が利勇(りゆう)を説破する
  • 君真物(きんまんもん)の神が王宮に出現する
  • 第三十四回 寧王女は身を捨てて犠(いけにえ)になろうと相談する
  • 廉夫人は妹に逢ってことさら母を悼む
  • 第三十五回 真鶴は孝烈にして北谷に赴く
  • 毛国鼎は勇敢にして阿公を取り拉(ひし)ぐ
  • 第三十六回 尚寧王は輿(こし)で高嶺に登る
  • 旧虬山の古墳に曚雲があらわれる
  • 第三十七回 毛国鼎は命を受けて小琉球へ赴く
  • 寧王女は珠を捧げて竜宮城へ帰る
  • 第三十八回 一夜の夫婦は永訣を守る
  • 鏡中の幻術は骨肉を割(く)く
  • 第三十九回 浦添山で毛国鼎は使者に逢う
  • 中山府で利勇は忠臣を殺す
  • 第四十回  涙を沃(そそ)いで松寿は廉夫人を撃つ
  • 神(しん)をあらわして白縫は寧王女を祐(たす)ける
  • 第四十一回 松寿は月の前に妻の屍を躱す
  • 真鶴は死して主の首に代わる
  • 第四十二回 査国吉は義によって中城に戦う
  • 二人の孝子は乗り物によって越来に走る
  • 第四十三回 腹を撈(さぐ)って阿公は赤子を奪う
  • 棺を流して鶴亀は亡き父を見る
  • 第四十四回 尚寧王は戯れ言をいい災いを喚ぶ
  • 中婦君は悪報によって八つ裂きにされる
  • 第四十五回 偽王子をいただいて利勇は軍兵を聚める
  • 赤瀬碑に苦しんで王女は為朝に逢う
巻之一
巻之二
巻之三
巻之四
巻之五
巻之六
  • 付録
  • 後編巻頭「備考」
  • 続編巻頭「拾遺考証」
  • 拾遺巻末「椿説弓張月拾遺編附言」
  • 残編巻頭「残編引用旧説崖略(がいりやく)」
  • 残編巻末「為朝神社幷(ならびに)南島地名弁略」
 解説 菱岡憲司
 『椿説弓張月3』おもな登場人物しおり
曲亭馬琴    Kyokutei Bakin
[ 1767 - 1848 ]    江戸時代の読本作家。深川生まれ。幼少の頃から俳諧、浄瑠璃本、軍記などに親しむ。14歳で主君の松平家を出たのちも仕え先を転々と変えるなど、浮浪の日々を送るが、24歳のとき山東京伝に入門を乞う。25歳で黄表紙の初作『尽用而二分狂言(つかいはたしてにぶきょうげん)』を刊行。27歳で結婚。41歳の折、刊行した『椿説弓張月』が大評判となり読本作家としての地位を不動のものとした。48歳から長編読本『南総里見八犬伝』の刊行を始め、長男の死や両目失明を乗り越え、長男の嫁の助けを得て76歳のときに完結させた。82歳で亡くなるまで書き続けた著作は、『月氷奇縁(げっぴょうきえん )』『三七全伝南柯夢(さんしちぜんでんなんかのゆめ)』『 開巻驚奇俠客伝(かいかんきょうききょうかくでん)』『近世説美少年録(きんせせつびしょうねんろく)』『傾城水滸伝(けいせいすいこでん)』『俳諧歳時記(はいかいさいじき)』ほか多数。
[訳者] 菱岡憲司    Hishioka Kenji

1976年、福岡県生まれ。日本近世文学研究者。九州大学大学院博士後期課程単位修得退学。博士(文学)。有明工業高等専門学校准教授などを経て、現在、山口県立大学国際文化学部教授。著書に『大才子 小津久足 伊勢商人の蔵書・国学・紀行文』 (第45回サントリー学芸賞受賞)、『その悩み、古典が解決します。』、『小津久足の文事』、『石水博物館所蔵 小津桂窓書簡集』 (編著) など。

書評
2026.02.14 西日本新聞    〈本と人〉菱岡憲司さん『曲亭馬琴「椿説弓張月」(現代語訳)』 届けたい「新刊の古典」
2026.02.08 読売新聞    小平麻衣子さん(日本文学研究者)のポケットに3冊