為朝、最大のピンチ!

椿説弓張月4

椿説弓張月4

曲亭馬琴    
菱岡憲司  訳   
曚雲国師×利勇×為朝
知略と計略がぶつかり合う三つ巴の戦い。
葛飾北斎の挿画を全点収録。全5巻
物語
王位継承をめぐる争いで廉夫人(れんぶにん)、忠臣毛国鼎(もうこくてい)らは命を落とした。寧王女(ねいわんにょ)の絶体絶命の危機を救った為朝は、曚雲国師(もううんこくし)を討つべく南風原(はえばる)へ赴き利勇(りゆう)と対面。難題を突きつけられるが、美女の海棠(かいどう)を介していったん、“手を結ぶ”のだった。知略と計略がぶつかり合う三つ巴の戦いを描く。
内容
馬琴の悪人造型には定評があるが、それは悪人の行為のみならず、その憎々しい心情をも描き得ていることが大きい。善悪どちらの立場の人物も、外面からはうかがえない単純ならざる内面を抱いており、そして馬琴は、それを描く。 (訳者)

目次
凡例
見返し
序
口絵
鎮西八郎為朝外伝樁説弓張月拾遺上帙目録
  • 第四十六回 小琉球にて為朝は旧恩に答える
  • 挂呂麻(かけろま)にて寧王女は白縫と称す
  • 第四十七回 為朝は小径(こみち)から南風原に赴く
  • 利勇は諫めを拒んで小禄港(ころくのみなと)を塞(ふさ)ぐ
  • 第四十八回 曚雲は奸計により鶴と亀を許す
  • 孝子は薄命にして井戸の底に落ちる
  • 第四十九回 三略を述べて松寿は鶴を救う
  • 鷲巣山に李趙は首を喪(うしな)う
  • 第五十回  樹を離れて孤猿は命を保つ
  • 鷲を獲て漂客は櫃(ひつ)を開く
  • 第五十一回 南風原の城に入って妖婦は利勇を惑わす
  • 佳奇呂麻に赴いて謀師は王女を迎える
  • 第五十二回 高楼で曚雲は海気を認める
  • 大里で為朝は王女を娶る
  • 第五十三回 人を的にして利勇は強弓を誇る
  • 馬を飛ばして松寿は危窮を告げる
  • 第五十四回 海棠を斬って為朝は曚雲を見る
  • 利勇を撃って鶴と亀は阿公を逐(お)う
  • 第五十五回 按司を会わせて為朝は曚雲を討つ
  • 城郭を捨てて賊将は首里に走る
  • 第五十六回 島袋を塞いで曚雲は為朝を焼く
  • 煙を払って王女は夫を尋ねる
題詞
巻之一
巻之二
巻之三
巻之四
巻之五
跋
 解説 菱岡憲司
 『椿説弓張月4』おもな登場人物しおり
曲亭馬琴    Kyokutei Bakin
[ 1767 - 1848 ]    江戸時代の読本作家。深川生まれ。幼少の頃から俳諧、浄瑠璃本、軍記などに親しむ。14歳で主君の松平家を出たのちも仕え先を転々と変えるなど、浮浪の日々を送るが、24歳のとき山東京伝に入門を乞う。25歳で黄表紙の初作『尽用而二分狂言(つかいはたしてにぶきょうげん)』を刊行。27歳で結婚。41歳の折、刊行した『椿説弓張月』が大評判となり読本作家としての地位を不動のものとした。48歳から長編読本『南総里見八犬伝』の刊行を始め、長男の死や両目失明を乗り越え、長男の嫁の助けを得て76歳のときに完結させた。82歳で亡くなるまで書き続けた著作は、『月氷奇縁(げっぴょうきえん )』『三七全伝南柯夢(さんしちぜんでんなんかのゆめ)』『 開巻驚奇俠客伝(かいかんきょうききょうかくでん)』『近世説美少年録(きんせせつびしょうねんろく)』『傾城水滸伝(けいせいすいこでん)』『俳諧歳時記(はいかいさいじき)』ほか多数。
[訳者] 菱岡憲司    Hishioka Kenji

1976年、福岡県生まれ。日本近世文学研究者。九州大学大学院博士後期課程単位修得退学。博士(文学)。有明工業高等専門学校准教授などを経て、現在、山口県立大学国際文化学部教授。著書に『大才子 小津久足 伊勢商人の蔵書・国学・紀行文』 (第45回サントリー学芸賞受賞)、『その悩み、古典が解決します。』、『小津久足の文事』、『石水博物館所蔵 小津桂窓書簡集』 (編著) など。

書評
2026.02.14 西日本新聞    〈本と人〉菱岡憲司さん『曲亭馬琴「椿説弓張月」(現代語訳)』 届けたい「新刊の古典」
2026.02.08 読売新聞    小平麻衣子さん(日本文学研究者)のポケットに3冊