2011.04.15

《書評》『ドストエフスキーと父親殺し/不気味なもの』ー 東京新聞 4月3日 

cover122.jpg4月3日の東京新聞読書欄で『ドストエフスキーと父親殺し/不気味なもの』(フロイト/中山 元 訳)を取り上げていただきました。

『マクベス』 『カラマーゾフの兄弟』などの文芸作品を心理学的に解析した論考を集めた。秘められた欲望をスリリングに読み取ってゆく。

2月に刊行した『ドストエフスキーと父親殺し/不気味なもの』には6編の論考が収録されています。ぜひ、ご一読を!

● 小箱選びのモチーフ(1913年)

シェイクスピアの『ヴェニスの商人』で、金、銀、鉛の3つの箱からどれを選ぶかという「小箱選び」のうちに、古代ギリシア以来の3人の女性から1人をを選ぶモチーフを読み込み、そこから母親の3つの顔を描く。

● 精神分析の作業で確認された二、三の性格類型(1916年)

幸福の絶頂で破滅へと向かい始める人物像を、シェイクスピアの『リチャード三世』と『マクベス』、イプセンの『ロスメルスホルム』などの作品を手掛かりに分析する。

● 『詩と真実』における幼年時代の記憶について(1917年)

ゲーテの自伝的な作品『詩と真実』の小さな告白をとりあげて、長い分析治療の経験のうちで、最初にいだいていた仮説がいかに補強されていくかを明らかにする。

● 不気味なもの(1919年)

ホフマンの「砂男」の分析を中心に捉えながら、「不気味なもの」をアニミズムとエディプス・コンプレックスと去勢の理論で考察できると考えていたフロイトが、さまざまなところで、同時期に執筆していた『快感原則の彼岸』で展開された新しい死の欲動の理論に知らず知らずに動かされていたかを示す。

● ユーモア(1927年)

1905年刊行の『機知―--その無意識との関係』の延長線上にある小品。ユーモア文学の笑いのメカニズムと超自我の関係について考察したもの。

● ドストエフスキーと父親殺し(1928年)

『カラマーゾフの兄弟』の父親殺しをテーマに、ドストエフスキーの性格と作品を分析するものであり、不気味なものにまつわるさまざまなモチーフが登場。

cover122.jpgドストエフスキーと父親殺し/不気味なもの フロイト/中山 元 訳 定価(本体980円+税)