バラモンの息子シッダールタは、親友ゴーヴィンダとともに身分を捨てて苦行者たちに加わり、巡礼の旅に出る。解脱者ゴータマ・ブッダとの邂逅、友との別れ、遊女カマラーとの快楽生活を経て、それでも心の渇きは満たされず……。
ドイツの作家ヘッセが、紀元前インドを舞台に一人の青年が心の渇きを抱えて放浪し、真の悟りへと至るまでを綴った傑作『シッダールタ』。原書刊行から一世紀以上を経た今もなお、この小説が放つ光は色あせないどころか、自己探求、飽くことのない快楽、友情、親子、自然との合一など、現代を生きる私たちが深く考えるべきテーマに満ちているように思います。今回、9月10日に発売となる『シッダールタ』の新訳を手掛けられた酒寄進一さんをお迎えし、本作の読みどころと魅力をたっぷり語って頂きます。
また、酒寄進一訳『シッダールタ』を原作とした同名の舞台が、11月から上演されます(世田谷パブリックシアター、出演:草彅剛、杉野遥亮、瀧内公美ほか、作:長田育恵、演出:白井晃、音楽:三宅純)。新訳は舞台化にどのように影響し、あるいは舞台化はどのように新訳に影響したのでしょうか。そのあたりの裏話も教えていただきたいと思います!
(聞き手:光文社古典新訳文庫・創刊編集長 駒井稔)