為朝、掉尾の勇を奮う!

椿説弓張月5

椿説弓張月5

曲亭馬琴    
菱岡憲司  訳   
主君への忠義に生きた武士もののふ
全5卷、完結 ! 葛飾北斎の挿画を全点収録。
物語
絶体絶命の危機を回避した為朝と寧王女ねいわんにょ巴麻島はましまへ渡り、神仙の導きで舜天丸すてまると紀平治に再会する。親の仇、阿公くまぎみを追い詰める鶴と亀。そして為朝と舜天丸はふたたび首里を攻め、曚雲国師もううんこくしと雌雄を決する。登場人物それぞれの因縁など、すべてが明かされる。「未完の英雄」為朝外伝、完結!
内容
張り巡らした伏線とその回収、登場人物それぞれの因縁の解き明かし。寧王女ねいわんにょの身体に亡き白縫しらぬいの魂が乗り移るという驚きの展開からの琉球王国再建。最大の難敵、曚雲国師もううんこくしとの最終決戦はもちろん、馬琴が本作に込めた理想の姿を示す後日談も読ませる大団円の最終巻。「為朝の徳は誠に至上である。ああ。」

目次
凡例
見返し
序(一)
口絵
序(二)
樁説弓張月残編目録
巻之一
巻之二
巻之三
巻之四
巻之五
跋(一)
跋(二)
 解説 菱岡憲司
 年譜
 訳者あとがき
 『椿説弓張月5』おもな登場人物しおり
曲亭馬琴    Kyokutei Bakin
[ 1767 - 1848 ]    江戸時代の読本作家。深川生まれ。幼少の頃から俳諧、浄瑠璃本、軍記などに親しむ。14歳で主君の松平家を出たのちも仕え先を転々と変えるなど、浮浪の日々を送るが、24歳のとき山東京伝に入門を乞う。25歳で黄表紙の初作『尽用而二分狂言つかいはたしてにぶきょうげん』を刊行。27歳で結婚。41歳の折、刊行した『椿説弓張月』が大評判となり読本作家としての地位を不動のものとした。48歳から長編読本『南総里見八犬伝』の刊行を始め、長男の死や両目失明を乗り越え、長男の嫁の助けを得て76歳のときに完結させた。82歳で亡くなるまで書き続けた著作は、『月氷奇縁げっぴょうきえん 』『三七全伝南柯夢さんしちぜんでんなんかのゆめ』『 開巻驚奇俠客伝かいかんきょうききょうかくでん』『近世説美少年録きんせせつびしょうねんろく』『傾城水滸伝けいせいすいこでん』『俳諧歳時記はいかいさいじき』ほか多数。
[訳者] 菱岡憲司    Hishioka Kenji

1976年、福岡県生まれ。日本近世文学研究者。九州大学大学院博士後期課程単位修得退学。博士(文学)。有明工業高等専門学校准教授などを経て、現在、山口県立大学国際文化学部教授。著書に『大才子 小津久足 伊勢商人の蔵書・国学・紀行文』 (第45回サントリー学芸賞受賞)、『その悩み、古典が解決します。』、『小津久足の文事』、『石水博物館所蔵 小津桂窓書簡集』 (編著) など。