「あの頃はいつだって祝祭だった」。この有名な冒頭の一文で始まる本作『美しい夏』は、20世紀イタリア文学の巨匠チェーザレ・パヴェーゼの代表作で、都会の洋裁店でお針子として働く16歳の少女ジーニアが過ごした、二度と戻らない特別な季節を描いた青春小説の金字塔です。ジーニアは、年上の美しく自由な女性でモデルをしているアメーリアと出会い、その大人びた魅力に惹かれていきます。そして彼女の男友達の画家に恋をして……。戸惑いながらも少女から少しずつ大人の世界へと歩みを進めていく過渡期の感情が、パヴェーゼ独特の静謐な文体で瑞々しく綴られています。本作品を原作とした映画が昨年日本で公開されましたが、登場人物の揺れ動く心のグラデーションが、色彩感覚あふれる美しい映像とともに印象的に描かれていました。今回の読書会では、共訳者の一人である渡辺由利子さんをお迎えして、本書の魅力について存分に語っていただきます。
(聞き手:丸山有美)