祖国のために“一粒の麦”となるのか、それとも自分自身の人生を生きるのか?

一粒の麦

一粒の麦

グギ・ワ・ジオンゴ    
粟飯原文子  訳   
植民地化が強いたこの残酷な二者択一の裏切りと苦悩、そして、回復の物語。
小説家 平野啓一郎さん推薦
物語
1963年、長く続いた植民地支配からの独立にわくケニア。独立を目指して激しい抵抗運動を繰り広げたザファイ村では、民衆の多くが心に傷を負っている。処刑された村の英雄キヒカを裏切ったのは誰なのか──さまざまな迷い、疑念、罪の告白を、重層的な語りで描き出す。
内容
「一粒の砂に世界を見て」「ひとときのうちに永遠を感じる」というグギが信じる思想は、名もなき生と個別の出来事のなかに、大きな歴史の時間と世界の広がりを見出そうとする視座にほかならない。『一粒の麦』に、わたしたちは人間の普遍を見るのである。(「解説」より)
目次
 解説 粟飯原文子
 年譜
 訳者あとがき
 『一粒の麦』おもな登場人物しおり
グギ・ワ・ジオンゴ    Ngũgĩ wa Thiong'o
[ 1938 - 2025 ]    ケニアの作家。1938年、イギリス植民地支配下のケニア中部に生まれる。ウガンダのマケレレ大学在学中に作家としてデビューし、『泣くな、わが子よ』『一粒の麦』など、英語で書いた小説で高い評価を得る。1970年に洗礼名のジェイムズを捨ててグギ・ワ・ジオンゴと改名すると、英語にかえてギクユ語で創作する道を選び、その後自作の英訳にも取り組んだ。アメリカに移ったのちも大学で教鞭を執りながら執筆を続け、長年にわたってアフリカ言語による文学の可能性を追求した。
[訳者] 粟飯原文子    Aihara Ayako

ロンドン大学東洋アフリカ研究学院博士課程。神奈川大学非常勤講師。アフリカ文学専攻。文学作品のほか、アフリカの音楽や映画の研究も行う。訳書に『褐色の世界史』(ヴィジャイ・プラシャド)、『ゲリラと森を行く』(アルンダティ・ロイ)がある。