怪奇趣味の奥に仕掛けられた真の狙いとは。

黒猫/モルグ街の殺人

黒猫/モルグ街の殺人

ポー    
小川高義  訳   

難解な原文の中に著者ポーが残した手がかりから、「現場」を見事に再現する、翻訳家=探偵の「名推理」がここに。

作品

推理小説が一般的になる半世紀も前に、不可能犯罪に挑戦する世界最初の探偵・デュパンを世に出した「モルグ街の殺人」。160年の時を経て、いまなお色褪せない映像的恐怖を描き出した「黒猫」。多才を謳われながら不遇のうちにその生涯を閉じた、ポーの魅力を堪能できる短編集。


物語

妻を殺し、壁に埋め込んだ夫。完全犯罪で終わるはずだったが......物語は、映像的な幻想が圧倒するクライマックスへ(黒猫)。暖炉に押し込められた令嬢。身体を切り裂かれた老婦人......誰が、いかにして? 知性を武器に、見えざる犯人に挑む名探偵(モルグ街の殺人)。

収録作品
  • 黒猫
  • 本能 vs.理性──黒い猫について
  • アモンティリャードの樽
  • 告げ口心臓
  • 邪鬼
  • ウィリアム・ウィルソン
  • 早すぎた埋葬
  • モルグ街の殺人
ポー年譜
エドガー・アラン・ポー    Edgar Allan Poe
[ 1809 - 1849 ]    アメリカの作家、詩人。推理小説の祖とも言われる。計算された恐怖を創作する「理詰め芸術派」。旅役者の両親に早く死なれ、27歳のとき13歳の従妹と結婚するが病気で先立たれ、食に恵まれず酒に溺れる。断酒会に参加したものの40歳で死去。主な作品に「アッシャー家の崩壊」、「黄金虫」、詩集『大鴉』など。
[訳者] 小川高義    Ogawa Takayoshi
1956年生まれ。東京工業大学名誉教授。著書に『翻訳の秘密』。訳書に『低地』(ラヒリ)、『さゆり』(ゴールデン)、『骨』(フェイ・ミエン・イン)、『オリーヴ・キタリッジの生活』(ストラウト)、『老人と海』(ヘミングウェイ)、『緋文字』(ホーソーン)、『黒猫/モルグ街の殺人』(ポー)、『若者はみな悲しい』『グレート・ギャッツビー』(共にフィッツジェラルド)ほか多数。