私の人生は、私の思っているとおりだろうか

春にして君を離れ

春にして君を離れ

アガサ・クリスティー    
廣野由美子  訳   
没後50年、文学作品としても再評価される心理サスペンスの白眉。
物語
夫と3人の子供に恵まれた主婦ジョーンは、娘の住む中東を訪れた帰路、砂漠のレストハウスで、ひとり自分の人生を振り返る。だが、家族とのやりとりを思い出すたび、「良き妻、良き母」という自己像は次第に崩れていき……。ミステリーの女王が心の奥底に沈む日常の真実を暴き出す。
内容
豊かな経験により人間観察を深めたクリスティーは、どこの家庭にもありそうな問題を、『春にして君を離れ』で小説として結晶化したのだ。ジョーンは誰かに、いや、もしかしたら自分に似ていると思い当たる読者も多いのではないだろうか。 (「解説」より)
目次
春にして君を離れ
 解説 廣野由美子
 年譜
 訳者あとがき
 『春にして君を離れ』おもな登場人物しおり
アガサ・クリスティー    Agatha Cristie
[ 1890 - 1976 ]    イギリスの小説家。裕福な家庭に生まれる(のちに家の経済状態は悪化)。第一次世界大戦中は志願者看護師や薬剤師の仕事をする。最初に志した音楽家の道を断念した後、推理小説の執筆を始める。1920年のデビュー作『スタイルズ荘の怪事件』以降、55年にわたり年1冊以上の作品を上梓し続けた。本作のほか『オリエント急行殺人事件』『ロジャー・アクロイド殺人事件』『ABC殺人事件』『そして誰もいなくなった』などが代表作。探偵エルキュール・ポアロやミス・マーブルといった魅力的な人物造形で世界中に読者を得る。小説のみならず戯曲でも人気を博した。
[訳者] 廣野由美子    Yumiko Hirono

1958年生まれ。英文学者。京都大学国際高等教育院副教育院長、同大学名誉教授。著書に『ミステリーの人間学──英国古典探偵小説を読む』『批評理論入門──「フランケンシュタイン」解剖講義』『小説読解入門「ミドルマーチ」教養講義』『シンデレラはどこへ行ったのか──少女小説と「ジェイン・エア」』など多数。訳書に『説得』(オースティン)、『ミドルマーチ』全4巻(ジョージ・エリオット)など。NHK Eテレ「100分de名著」の『フランケンシュタイン』『高慢と偏見』『シャーロック・ホームズスペシャル』にゲスト講師として出演。