「不安」と「気遣い」

存在と時間5

存在と時間5

ハイデガー    
中山 元  訳   

わたしたちは世界とどうかかわっているか?〈全8巻〉

内容

現存在は世界においてどのように存在しているのか。ここまで、世界内存在を構成する三つの契機を示す概念「世界」「世人(ひと)」「内存在」を手がかりに考察を進めてきた。この第5巻では、現存在の存在様式の全体を捉えるまなざしとして「気遣い」という観点から考える。(第6章第44節まで)

この6章でもって、第1篇「現存在の予備的な基礎分析」が締めくくられる。

目次
存在と時間5
第一部 時間性に基づいた現存在の解釈と、存在への問いの超越論的な地平としての時間の解明    11
第一篇 現存在の予備的な基礎分析    11
  • 第六章 現存在の存在としての気遣い    11
  • 第三九節 現存在の構造全体の根源的な全体性への問い    11
  • 第四〇節 現存在の傑出した開示性としての〈不安〉という根本的な情態性    24
  • 第四一節 気遣いとしての現存在の存在    49
  • 第四二節 現存在の前存在論的な自己解釈に基づいた気遣いとしての現存在の実存論的な解釈の検証    68
  • 第四三節 現存在、世界性、実在性    80
    • (a)「外界」の存在と証明可能性の問題としての実在性    85
    • (b)存在論的な問題としての実在性    110
    • (c)実在性と気遣い    118
  • 第四四節 現存在、開示性、真理    123
    • (a)伝統的な真理の概念とその存在論的な基礎    129
    • (b)真理の根源的な現象と、伝統的な真理の概念の派生的な性格    145
    • (c)真理の存在様式と真理の前提    172
 解説 中山元
  
第一部第一篇
第六章 現存在の存在としての気遣い  196
  • 第三九節
  • 第四〇節
  • 第四一節
  • 第四二節
  • 第四三節
  • 第四四節

第三九節 現存在の構造全体の根源的な全体性への問い  196
統一的なまなざしの必要性(520〜522)/全体を貫くまなざしに必要な消極的な条件(523)/見通すまなざしに必要な積極的な条件(524〜525)/不安の概念(526)/第六章の構成(527〜530))

第四〇節 現存在の傑出した開示性としての〈不安〉という根本的な情態性  204
不安の現象の優位性(531)/自己からの逃走(532)/逃走の構造的な契機(533)/不安と恐れの違い、第一の構造契機(538〜541)/不安と恐れの違い、第三の構造契機(542〜543)/不安のもたらすもの(544〜545)/不安の特異性/キルケゴールの不安の概念/フロイトの不安の概念/フロイトの「不気味なもの」/ハイデガーの不気味なもの(546)/頽落と不安(547〜548)/恐れと不安(549)/不安の根源的な機能(550〜553)

第四一節 気遣いとしての現存在の存在  229
二種類の頽落/不安の二重の役割(554)/不安が明らかにする現存在の基本的な存在性格/実存論的な規定と存在論的な規定/現存在の新たな定義(555)/「みずからに先立つ存在」の三重の意味/現存在の三つの根源的な存在様態(555〜558)/三つの気遣い(559)/本来的な実存と非本来的な実存(560)/三つの「自己への先駆」/気遣いの根源性(561〜564)/意欲あるいは意志の哲学(565)/意欲が可能となる三つの条件/意欲の現象(566)/願望(欲望)の哲学(567)/性向と衝動の哲学(568〜570)/気遣いの問いの根源性(571)/三つの補足(571)

第四二節 現存在の前存在論的な自己解釈に基づいた気遣いとしての現存在の実存論的な解釈の検証  263
「気遣い」の概念についての注釈/クーラの神話(572〜576)/講義『アウグスティヌスと新プラトン主義』での考察/世界を「使うこと」と「享受すること」(576〜577)/第一部の概括(578〜581)

第四三節 現存在、世界性、実在性  271
存在の意味の理解(582〜583)/実体性と実在性(584)/この考え方のもたらした帰結と改善のための手続き(585)/デカルトの問い/デカルトの結論の引き起こした三つの問題系/これらの問題系についての四つの問い(586)

(a)「外界」の存在と証明可能性の問題としての実在性  281
外界の存在と証明可能性についての問い(587)/カントのコペルニクス的転回/三種類の世界概念/カントの「スキャンダル」/ハイデガーのカント批判の道筋(589〜592)/カントにおける時間の客観性の問題(592)/カントの「観念論への論駁」への批判(593〜596)/同時代の哲学における実在性の問題(597〜598)/三つの誤謬(599)/「認識論的な頽落」(600)/観念論と実在論の批評(601)/実在論・観念論と存在論の違い(602〜605)
(b) 存在論的な問題としての実在性  312
ディルタイの「現象性の原理」/ディルタイの超越論的な哲学の批判(606〜608)/シェーラーのディルタイ批判/ハイデガーによるシェーラー批判(609〜612)
(c) 実在性と気遣い  324
外界の実在性の議論の欠陥(613〜614)/存在の依存性(615〜617)

第四四節 現存在、開示性、真理  327
アリストテレスの第一の真理概念(618〜622)/アリストテレスの第二の真理概念

(a)伝統的な真理の概念とその存在論的な基礎  331
アリストテレスの伝統(623〜627)/知性と事物の一致としての真理(628〜632)/フッサールの真理論/ハイデガーによる批判(633〜635)/真理の意味(636〜637)/露呈としての物との出会い
(b)真理の根源的な現象と、伝統的な真理の概念の派生的な性格  344
アリストテレスの真理概念再考(663〜664)/ヘラクレイトスの真理(638〜640)/現存在の存在機構の第一の局面——二つの真理(641〜646)/現存在の存在機構の第二の局面——真理と被投性(647)/現存在の存在機構の第三の局面——被投的な投企(648)/現在の存在機構の第四の局面——頽落(649)/真理の奪取(650〜653)/真理の現象についての二つの確認(654)/派生的な真理の理論が誕生するまで(655〜658)/生きた言葉と伝えられた言葉(658〜659)/経験の摩耗と真理の根源の隠蔽(660〜661)
(c) 真理の存在様式と真理の前提  366
真理の時間性(666)/真理性と現存在/自然と真理/真理を定めるもの/クーンの真理の理論/フーコーの真理の権力の理論/ハイデガーの真理論(667〜669)/真理の考察の結論/真理と懐疑論の証明(668〜673)/理想的な主観の想定(674〜676)/結論(677〜680)

解説——注  393
 年譜
 訳者あとがき
マルティン・ハイデガー    Martin Heidegger
[ 1889 - 1976 ]    ドイツの哲学者。フライブルク大学で哲学を学び、フッサールの現象学に大きな影響を受ける。1923年マールブルク大学教授となり、1927年本書『存在と時間』を刊行。当時の哲学界に大きな衝撃を与えた。翌1928年フライブルク大学に戻り、フッサール後任の正教授となる。ナチス台頭期の1933年に学長に選任されるも1年で辞職。この時期の学長としての活動が、第二次大戦直後から多くの批判をうける。大戦後は一時的に教授活動を禁止された。1951年に復職、その後86歳で死去するまで旺盛な活動を続けた。
[訳者] 中山 元    Nakayama Gen
1949年生まれ。哲学者、翻訳家。主著に『思考のトポス』『フーコー入門』『はじめて読むフーコー』『思考の用語辞典』『賢者と羊飼い』『フーコー 生権力と統治性』『フーコー 思考の考古学』ほか。訳書に『自我論集』『エロス論集』『幻想の未来/文化への不満』『人はなぜ戦争をするのか』(以上、フロイト)、『パピエ・マシン(上・下)』(デリダ)、『永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編』『純粋理性批判』(カント)、『人間不平等起源論』『社会契約論/ジュネーヴ草稿』(共にルソー)、『職業としての政治 職業としての学問』『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(共にウェーバー)、『善悪の彼岸』『道徳の系譜学』(共にニーチェ)、『存在と時間』(ハイデガー)ほか多数。
存在と時間8
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ハイデガー

中山 元 訳

存在と時間7
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ハイデガー

中山 元 訳

存在と時間6
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存在と時間4
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存在と時間3
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存在と時間2
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存在と時間1
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判断力批判(下)
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中山 元 訳

判断力批判(上)
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フロイト、無意識について語る
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フロイト、性と愛について語る
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フロイト

中山 元 訳

フロイト、夢について語る
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モーセと一神教
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実践理性批判2
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実践理性批判1
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道徳形而上学の基礎づけ
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カント

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純粋理性批判7
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中山 元 訳

純粋理性批判6
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純粋理性批判5
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純粋理性批判4
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中山 元 訳

純粋理性批判3
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中山 元 訳

純粋理性批判2
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純粋理性批判1
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道徳の系譜学
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ニーチェ

中山 元 訳

善悪の彼岸
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社会契約論/ジュネーヴ草稿
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ルソー

中山 元 訳

人間不平等起源論
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中山 元 訳