新しい「時間」の概念で〈現存在〉の「存在」を明らかにする

存在と時間7

存在と時間7

ハイデガー    
中山 元  訳   
作品
通常わたしたちは「今(現在)」の連続を生きていると考えているが、ハイデガーはそうは考えない。この巻では現存在の全体性と本来の可能性について、気遣いや頽落、恐れ、不安などの現象を「将来」「既往」「瞬視」という独自の時間概念に結びつけて考察する。(第2篇第4章第71節まで)
内容
〈死に臨む存在〉としてみずからの死に直面する、「死への先駆」を決意する〈現存在〉は、どのような 「時間」を生きているのか? 通俗的な「現在」「過去」「未来」ではない、ハイデガーの独自の時間論が本格的に展開される。
目次
存在と時間7
  
第一部 時間性に基づいた現存在の解釈と、存在への問いの超越論的な地平としての時間の解明
第二篇 現存在と時間性      
  • 第三章 現存在の本来的で全体的な存在可能と、気遣いの存在論的な意味としての時間性    11
  • 第六一節 現存在にふさわしい本来的な全体存在の確定から始めて、時間性を現象的にあらわにするまでの方法論的な道程の素描    11
  • 第六二節 先駆的な決意性としての現存在の実存的で本来的で全体的な存在可能    21
  • 第六三節 気遣いの存在意味を解釈するために獲得された解釈学的な状況と、実存論的な分析論全般の方法論的な性格    40
  • 第六四節 気遣いと自己性    62
  • 第六五節 気遣いの存在論的な意味としての時間性    86
  • 第六六節 現存在の時間性と、その時間性から生まれた実存論的な分析の根源的な反復という課題    113
  • 第四章 時間性と日常性    121
  • 第六七節 現存在の実存論的な機構の根本状況と、この機構の時間的な解釈の素描    121
  • 第六八節 開示性一般の時間性    126
    • (a)理解の時間性    127
    • (b)情態性の時間性    139
    • (c)頽落の時間性    159
    • (d)語りの時間性    168
  • 第六九節 世界内存在の時間性と世界の超越の問題    175
    • (a)目配りによる配慮的な気遣いの時間性    179
    • (b)目配りによる配慮的な気遣いが、世界内部的に眼前的に存在するものを理論的に露呈することへと変様することの時間的な意味    195
    • (c)世界の超越の時間的な問題    217
  • 第七〇節 現存在にふさわしい空間性の時間性    229
  • 第七一節 現存在の日常性の時間的な意味    239
 解説 中山元
  
第一部第二篇 現存在と時間性
第三章 現存在にふさわしい本来的で全体的な存在可能と、気遣いの存在論的な意味としての時間性  254
  • 第六一節
  • 第六二節
  • 第六三節
  • 第六四節
  • 第六五節
  • 第六六節

第六一節 現存在にふさわしい本来的な全体存在の確定から始めて、時間性を現象的にあらわにするまでの方法論的な道程の素描  254
この章の課題(907)/先駆的決意性とは(908)/死の疑似的な体験の思考実験/第三章の構成(909〜915)

第六二節 先駆的な決意性としての現存在の実存的で本来的で全体的な存在可能  262
問題提起(916〜928)/先駆的な決意性の重要な特徴(929〜930)

第六三節 気遣いの存在意味を解釈するために獲得された解釈学的な状況と、実存論的な分析論全般の方法論的な性格  267
予視、予持、予握の問題点(931)/新たな分析の方法論(932)/現存在分析の暴力性(932〜937)/実存の理念と存在全般の理念(938〜941)/解釈の循環の重要性(942〜945)/現存在をめぐる二つの誤謬(945〜946)/真理の問題(947)

第六四節 気遣いと自己性  284
これまでの総括(948)/自己と自我という二つの観点(949)/「わたしは」と語ることと超越論的な統覚(950〜954)/カントの純粋統覚の理論/カントの功績(954〜955)/カントの理論の欠陥(956〜957)/世人自己(マン・ゼルプスト)としてのわたしとその超克(958〜960)/本書での自己の概念の役割

第六五節 気遣いの存在論的な意味としての時間性  303
第六五節の構成とヴォラウフヒンの概念(963〜964)/意味とヴォラウフヒン(965〜967)/気遣いの時間性としての「将来」(968)/気遣いの時間性としての「既往」(969)/現在と現在化について(970)/時間性(971〜973)/気遣いの構造と時間性(973)/現存在と三つの時間性(974〜976)/時熟(977)/時間の脱自態(978)/根源的な時間性の主要な特徴(979〜984)

第六六節 現存在の時間性と、その時間性から生まれた実存論的な分析の根源的な反復という課題  332   時間性の解釈の視点と第二篇の第四章から第六章の構成(985〜989)

第四章 時間性と日常性  335
  • 第六七節
  • 第六八節
  • 第六九節
  • 第七〇節
  • 第七一節

第六七節 現存在の実存論的な機構の根本状況と、この機構の時間的な解釈の素描  335
第四章の構成(990〜993)

第六八節 開示性一般の時間性  337
開示性の分析の構図(994)/実存性の分析と時間性の分析

(a)理解の時間性
理解と将来の時間性(995〜998)/理解と現在の時間性(999〜1000)/瞬視と「今」の概念の比較/既往の時間性(1001〜1002)/本来的な時間性の時熟と非本来的な時間性の時熟
(b)情態性の時間性
情態性と既往の時間性(1003〜1005)/恐れの時間性(1006〜1007)/不安の時間性(1008〜1011)/恐れと不安の違い(1012〜1013)/さまざまな気分の分析——希望を一つの実例として(1014)/さまざまな気分の分析——無関心と平静さの実例(1015〜1016)
(c)頽落の時間性
頽落の時間性(1017)/好奇心の時間性(1018〜1020)/現存在の頽落の根源(1021〜1024)
(d)語りの時間性
語りの時間性のもつ問題点(1025〜1026)/これまでの時間性の考察の要約(1027〜1029)

第六九節 世界内存在の時間性と世界の超越の問題  377
現存在を照らしだすもの(1030)/第六九節の構成(1031〜1032)

(a)目配りによる配慮的な気遣いの時間性
道具との交渉の時間性(1033〜1034)/道具の操作における時間的な構造——予期(1035〜1037)/適材適所性の連関が蹉跌するとき(1039〜1041)/抵抗に対処する現存在の行動(1042〜1044)
(b)目配りによる配慮的な気遣いが、世界内部的に眼前的に存在するものを理論的に露呈することへと変様することの時間的な意味
目配りのまなざしと学問的なまなざし(1045〜1046)/学問的なまなざしの発生(1047〜1048)/目配りの時間的な機構(1049〜1050)/「として‐構造」の役割(1051)/学問的な命題の可能性(1052)/気づきの段階(1053〜1054)/事物の道具性の捨象の段階(1054〜1056)/まなざしの転換の意味するもの/真理性の確認の段階(1057〜1058)/現存在の超越について(1059〜1060)
(c)世界の超越の時間的な問題
現存在と世界の関係(1061〜1062)/現存在の時間性と世界(1063〜1065)/地平の構造と世界の超越(1063〜1066)/超越問題の意味(1067〜1068)

第七〇節 現存在にふさわしい空間性の時間性  422
空間性と時間性(1070〜1071)/現存在の空間性(1072〜1074)/現存在の頽落と空間性(1075〜1076)

第七一節 現存在の日常性の時間的な意味  428
「さしあたりたいていは」の意味(1077〜1080)/日常性の時間性(1081〜1082)/日常性にかかわる二つの重要な問題(1083〜1084)

 年譜
 訳者あとがき
マルティン・ハイデガー    Martin Heidegger
[ 1889 - 1976 ]    ドイツの哲学者。フライブルク大学で哲学を学び、フッサールの現象学に大きな影響を受ける。1923年マールブルク大学教授となり、1927年本書『存在と時間』を刊行。当時の哲学界に大きな衝撃を与えた。翌1928年フライブルク大学に戻り、フッサール後任の正教授となる。ナチス台頭期の1933年に学長に選任されるも1年で辞職。この時期の学長としての活動が、第二次大戦直後から多くの批判をうける。大戦後は一時的に教授活動を禁止された。1951年に復職、その後86歳で死去するまで旺盛な活動を続けた。
[訳者] 中山 元    Nakayama Gen
1949年生まれ。哲学者、翻訳家。主著に『思考のトポス』『フーコー入門』『はじめて読むフーコー』『思考の用語辞典』『賢者と羊飼い』『フーコー 生権力と統治性』『フーコー 思考の考古学』ほか。訳書に『自我論集』『エロス論集』『幻想の未来/文化への不満』『人はなぜ戦争をするのか』(以上、フロイト)、『パピエ・マシン(上・下)』(デリダ)、『永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編』『純粋理性批判』(カント)、『人間不平等起源論』『社会契約論/ジュネーヴ草稿』(共にルソー)、『職業としての政治 職業としての学問』『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(共にウェーバー)、『善悪の彼岸』『道徳の系譜学』(共にニーチェ)、『存在と時間』(ハイデガー)ほか多数。
存在と時間8
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ハイデガー

中山 元 訳

存在と時間6
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ハイデガー

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存在と時間5
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存在と時間4
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存在と時間3
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存在と時間2
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判断力批判(下)
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判断力批判(上)
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フロイト、無意識について語る
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フロイト、夢について語る
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実践理性批判2
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道徳形而上学の基礎づけ
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