友かそれとも敵か、 それが問題だ。

政治的なものの概念

政治的なものの概念

カール・シュミット    
中山 元  訳   
政治の本質を明快に理論づけた政治思想の重要古典
作品
シュミットは政治の本質を明らかにする究極の判断基準を「友」と「敵」の区別とする。反感を抱き、ねたみや怨恨をもつ憎むような私的な対立者ではない、公的な敵だけが「敵」であり、その敵に対する者を「友」と定義する。ナチ党入党前後に改訂、刊行された別版も収録。今こそ読まれるべき古典。
内容
政治的な統一体という概念は、現実に敵が存在する可能性を前提とする。そもそも一つの国家が存在するかぎり、つねに複数の国家が地球上に存在する。つまり、地球と人類全体を包括する世界〈国家〉などというものは存在しえない。そして、最終戦争の後に永続的な平和が訪れると考えるのは、「不誠実な虚構」であるとシュミットは主張する。
目次
『政治的なものの概念』第二版(一九三二年/一九六三年、最終版)
『政治的なものの概念』第三版(一九三三年、ナチス版)
『政治的なものの概念』最終版 (一九六三年)のまえがき
『政治的なものの概念』第二版(一九三二年)のあとがき
 解説 中山元
 年譜
 訳者あとがき
カール・シュミット    Carl Schmitt
[ 1888 - 1985 ]   

ドイツの政治学者・公法学者。1907年ベルリン大学入学後、ミュンヘン大学を経てシュトラースブルク大学へ転学。1915年、司法試験合格の翌日に予備歩兵部隊に志願入隊。1933年5月、ナチ党に入党し、「ナチスの桂冠法学者」としてナチス政権の法学理論を支えた。1933年から'45年までベルリン大学教授。戦後アメリカ軍に逮捕され、捕虜収容所で1年以上を過ごしたのち釈放される。その後は生まれ故郷に戻り著述活動を続けた。1985年没。著作に『政治的ロマン主義』『政治神学』『現代議会主義の精神史的地位』『陸と海』『大地のノモス』などがある。

[訳者] 中山 元    Nakayama Gen
1949年生まれ。哲学者、翻訳家。主著に『思考のトポス』『フーコー入門』『はじめて読むフーコー』『思考の用語辞典』『賢者と羊飼い』『フーコー 生権力と統治性』『フーコー 思考の考古学』ほか。訳書に『自我論集』『エロス論集』『幻想の未来/文化への不満』『人はなぜ戦争をするのか』(以上、フロイト)、『パピエ・マシン(上・下)』(デリダ)、『永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編』『純粋理性批判』(カント)、『人間不平等起源論』『社会契約論/ジュネーヴ草稿』(共にルソー)、『職業としての政治 職業としての学問』『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(共にウェーバー)、『善悪の彼岸』『道徳の系譜学』(共にニーチェ)、『存在と時間』(ハイデガー)ほか多数。